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新人の行動を嘆く前に考えること

新人や部下への指示だしでこんな話しがありました。

 

アパレルショップの新人に、手が空いているときは店内を巡回してねと指示だしをした先輩がいました。

しばらくして新人が「巡回終わりました」と報告してきたので、先輩が確認のため店内をみて歩いたそうです。

するとお客様が手に取ってみた商品が、乱れた状態のまま陳列されていました。

 

後日、先輩は同僚に愚痴を言いました。

「巡回してって言ったら、ほんとに巡回だけして戻ってきたの

商品を綺麗にたたむことに気が回らないなんて、考えられない。ほんと、気が利かない」

このエピソードを見て、皆さんはどう感じましたか?

 

 

指示を出す相手の知識量を把握している?

 

さてこのエピソードですが、新人は気が回らないと断罪してもいいのでしょうか?

「バリ取りしといて」

この言葉を聞いて、あなたは正確に作業することができるでしょうか?

「バリ取り」とは、機械加工の製造現場で出てくる言葉です。

鉄などを削ったとき、製品の端に小さな鉄の欠片が残っているのですが、それを「バリ」と呼びます。

「バリ」が残ったままだと、製品を持ったとき手を切ったり、組み立てたときに不具合が発生したりといった問題がでます。

機械加工の現場では「バリ取り」は当然の処理となります。

ここで、先ほどの「巡回」に戻ってみましょう。

そのお店にとって「巡回」とは「乱れた商品をきれいにたたむこと」を指しています。

それはお店にとっての常識です。

ですが、その常識を新人は知っていたのでしょうか?

 

 

当然の業務は経験しているから知っているだけ

 

新人の人は「巡回」の業務を初めて経験したのかもしれません。

だとしたらお店の常識を知らない可能性があります。

知らない常識に対応できていなかったからといって、気が利かないと言うのはまずいと思いませんか?

誰だって初めての事はわかりません。ちゃんと説明してあげる必要があるのです。

その説明をおろそかにして相手を責めるような事をしていませんか?

 

 

常識は意識の影に隠れやすい

 

実はこれにも理由があります。

常識は言葉にしなくても分かっているという前提にたっています。

常識だから誰でも知ってると、そう思い込んでしまうようになります。

当たり前の行動だからこそ、意識せずに行動できてしまっているのです。

そうすると説明するときに、当たり前過ぎて説明を忘れてしまうという罠に引っかかってしまいます。

新人さんはお店の常識を知りません。

それをちゃんと理解したうえで、丁寧な指示だしが必要なのです。

「そんなの他の先輩の動きをみたら分かる」と反論したくなると思います。

確かに見ていれば分かるでしょう。ですがその気付きがいつ訪れるのかは分かりません。

であれば、先に説明してしまったほうが手っ取り早く「常識」を新人に教えることができますよね。

時間効率を考えたとき、説明せずに本人が気付くのに任せるのか、今すぐ説明して教えるのか、どちらが効率的かは言うまでも無いでしょう。

 

 

伝え方一つで効率は上がります。

 

「常識は見えにくい」ということを意識してみて下さい。