「あの人が言うから、信用できない」
「あの人が言うなら、間違いないはずだ」
みなさんはこんな心の声を呟いていませんか?
心の声だけでなく、実際に声に出しているかもしれません。
身近な人相手でなくても、テレビに出ているタレントや政治家など
正しいと思われる事を言っていたとしても
「○○は嫌いだから、その意見は受け入れられない」
と思っていることなど、思い当たる節はありませんか?
実はそれ、心理的なバイアス。
つまり思考の偏りによって生み出されている感覚なんです。
そのバイアスを『連座の誤謬(れんざのごびゅう)』と呼びます。
『連座の誤謬』ってなに?
端的に言うと「発言内容の評価を内容の正誤ではなく、発言者の人格や印象で判断してしまう」ということです。つまり発言者のカラーに影響されて、正しい判断が出来なくなってしまう状況です。
いやいや、私はそんな事で内容を取り違えたりしないよ。
そう考える方も多いと思います。
もちろん、僕自身もそう思っています。
ですがこれがなかなかにやっかいな代物なんですね。
これに関わってくるものに『メラビアンの法則』と呼ばれるものがあります。
コミュニケーションにおいて重視している情報の割合についての法則です。
『外見:55% 声の調子:38% 言葉:7%』
つまり発言内容はたったの7%しか注目されていないのです。
そしてこのバイアスは日常の色んなシーンで発動しているのです。
『連座の誤謬』が発生するシーン
たとえば病院。
体調が悪くなって病院に行ったとき、症状を的確に説明できればいいですが、なかなかうまくいかない時もあります。
そんなときお医者さんが「この症状なら○○ですね」と診断されます。
すると患者は「先生がそう言うなら間違いない」と信じます。
これは専門家が言っているのだから間違い無い、と思い込んでいるんですね。
他では少し特殊ですが、結婚詐欺なんかもこのバイアスが発動しています。
この人は自分に親切にしてくれるし、自分を愛してくれている。
だからこの人が自分を騙すなんてありえない。
この人が言うことは信用できる。
そう思い込んでしまって、大切なお金が奪われたりしています。
なぜ『連座の誤謬』が起きてしまうのか?
結論から言いますと、これは脳の性質です。
バイアスの発動は仕方がないことなのですね。
とは言えそれだけでは納得しにくいですよね。
ちゃんと詳しく解説しますので、ご安心を。
脳は常に様々な情報を処理しています。
つまり多くのエネルギーを使い続けているのです。
『連座の誤謬』がなぜ発動するかというと
脳の働きを最小に抑えるために発動しているのです。
誰かの発言に対して「本当に正しいのか?」それとも「間違っているのか?」と、常に意識しながら聞いていると脳は常に考える状態となってしまいます。考える状態とはエネルギーを消費している状態です。
アクセルを踏み込み続けている状態というわけです。
でも相手の印象で判断する場合、その人の雰囲気と態度で判断することができるので、判断する材料が少なくてすみます。材料が少ないということは、考える事が少なく済むと言い換えることができます。
『連座の誤謬』は脳が楽をするために発動するバイアスなのです。
言い換えると『思考停止』状態で、発言内容を判断しているのです。
『連座の誤謬』を切り抜けるには
このバイアスを押さえ込む方法は、常に相手の発言の真意を考え、ほんとうに正しい事を言っているのか疑いの目で見つめることです。
とは言え、そんな事を四六時中するわけにはいきませんよね?
それにそもそも、嘘ばかり言う人はそれほど多くはありません。
みなさんの周りの人も、ちゃんと本当の事をお話しされている方ばかりだとおもいます。
日常生活においては、あまり気にする必要はありません。
注意すべきシーンは「ここぞ」という場面です。
大金が動く。
人生の選択。
など、大きな決断をする時にこそ、このバイアスを思い出して下さい。
誰が言ったかはとりあえず隠して、その内容だけに注目してみるといいですね。
注目する場合のコツは「紙に書き出す」ことです。
頭の中で考え続けるとその考えが強化されてしまい、その考えは間違い無いといった「思い込み」が発動してしまう場合があります。
紙に書き出すことで、考えを頭の外に取り出すことができます。
外に出た情報は、頭の中にあるままと比べると、客観的な目線で見つめ直すことが比較的簡単になります。
このように、人格と内容を分離することを目指してみましょう!
個人セッションや長期講座で、思考する事の楽しさを手に入れることができます。
思考する基礎能力を持てれば、様々なシーンで応用が利きます。
まずはどんな事に困っているのか、お気軽にご連絡下さい。
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