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『WRAP』の具体的な使い方

前回のメルマガでは正常性バイアスの罠から抜け出すためのテクニックとして『WRAP』のステップを紹介しました。

 

『W』(Widen Your Options

選択肢を広げる

 

『R』(Reality Test Your Assumptions

仮説の現実性を確かめる

 

『A』(Attain Distance Before Deciding

決断の前に距離を置く

 

『P』(Prepare To Be Wrong

誤りに備える

 

の4つのステップとなります。

ただ、じゃあこのステップを具体的にどのように活用すればいいのか。

今回はその使い方の一例を紹介したいと思います。

 

 

例えば保険に関して「加入する」か「加入しないか」のどちらを選ぶかを考えてみましょう。

あなたはこれまで大きな病気になったことはありません。

現在も健康そのものです。

ですが将来の事を考え、保険加入を検討しています。

 

 

 

①選択肢を広げる

大前提として「する」「しない」といった二択での問い立て方が間違っています

そのような狭い範囲での考え方は、自動的に視野を狭めてしまい、正常性バイアスを働きやすくしてしまうのです。

 

ですので「加入する」「加入しない」に加えて

「保険に頼らない方法はあるか?」「どんな種類の保険が適切か?」「加入する場合に想定しておくことは何か?」など、選択肢を増やし様々な角度から考察することが必要です。

 

 

 

②仮説の現実性を確かめる

ここでは過去の事例を検討します。

というのも、自分だけの知識だけで判断しようとすると、どうしても偏った考え方になりがちになってしまうからです。

その場合の事例の検討の仕方は

「加入した場合、どんな環境になるのか?(支払い・年末調整など)」

「保険の使用率はどれくらいなのか?」

「保険に加入しなかった場合の問題はあるのか?」

などです。

 

このように「加入した場合」と「加入しなかった場合」という仮説について、様々な角度から考察することが重要です。

それにより「保険」そのものの思い込みが解消されて、公平な視点で検討することができるようになります。

 

 

 

③決断の前に距離を置く

いざ決断しようとしたとき、ほんの少しだけゆとりを持ちましょう。

最後の決断のときに、勢いで決断をしないための余白です。

決断を下す前に、ほんの10分程度でいいので気持ちをリセットしてみましょう。

 

他には「友人から保険加入について相談をされたら、どう答えるかな」など、客観的な視点で考えられる質問を自分にしてみるのもオススメです。

 

 

 

④誤りに備える

熟考を重ねてもの結果に100%後悔しないということはありません

 

あらかじめ「最悪の結果」と「最高の結果」を想定して、どのようになれば満足できるかの線引きをしておきましょう。

 

例えば

「保険料はかかるが、いざというときに助けになる」

「保険に加入しても病気にならなければ損するが安心感はある」

「保険に入らないかわりに治療費として貯蓄する」

「保険未加入で病気になっても、各種制度を利用すればなんとかなる」

などを想定することで、より冷静に行動することができるようになります。