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外面より内面

人は見た目が9割、なんて本も出版されるほど見た目は大切です。

ですがあえて、人は内面も重要ですよと声を出したいと思います。

 

これはとあるコミュニケーションコンサルタントの方から聞いた話です。

 

相談に来られたのは40代の男性。

顔の見た目やスタイルも悪くなく、服装も清潔感のあるものでした。

相談内容は、女性が苦手だけど女性と良好な関係を持ちたいというもの。

ぱっと見た感じでは、女性と簡単に仲良くなれるのではと思える雰囲気でした。

 

面談を始めると驚きの事実が明らかに!

なんと顔の整形に一千万もつぎ込んだというのです。

 

 

少しずつ明らかになる秘密

 

どうして整形に一千万もつぎ込んだのか。

相談を進めていくと、その方の問題が少しずつ見えてきました。

 

彼は子どものころ、容姿のせいでイジメを受けていたのです。

男子女子の双方から様々な事を言われ、自分の見た目に大きなコンプレックスを抱くようになりました。

それから俯いて歩くようになってしまい、自分の顔を取り替えたいという願望が大きくなっていったのです。

 

成人し働くようになると自由になるお金が手に入るようになりました。

「これでこの顔を捨てることができる!」

彼は子どもの頃から自分の最大のコンプレックスである「顔」を捨てる決意をしました。

目、鼻、口、頬骨、顎、リフトアップ、ヒアルロン酸注入。

次から次へと自分の顔を変えていったのでした。

 

 

女性との関係性はどうなったか?

 

最大のコンプレックスである顔が変化し、これで大丈夫となった彼は女性に声を掛けるようになります。

しかしなかなか上手くいきません。

「どうしてうまくいかないんだ?」

彼は悩みます。

 

そして「この顔がまだ悪いからだ」という結論に至りました。

彼はすぐさま新たな整形を実行していきます。

唇の厚み、眉の位置、顎の先端の形、などなど。

 

これで理想の顔になった。

彼は女性に声をかけることを再開しました。

ですがうまくいかない。

顔は、なおした。

医者からは、これ以上触ると崩壊する可能性があるとまで言われている。

 

そこで初めて彼は、自分のコミュニケーションに問題があるのではと思ったのでした。

 

 

入会した彼は

 

彼はコンサルタントの方が開催している、コミュニケーションスクールに通うことを決意。

スクールでは同じコミュニケーションの悩みを持っている方が多数参加しています。

もちろんのことながら、参加者には男性も女性もいます。

スクールでは講師の方がコミュニケーションのポイントを説明して、そのうえで参加者がディスカッションしながらどう改善していくかを組み立てていきます。

 

彼の隣に女性が座ったとき、他の人が発言しているにもかかわらず、彼は発言者を見ずに隣の女性をジッと凝視するのでした。

そんな彼の行動が怖いと、女性の会員さんが辞めていくとう事態に発展。

他の方に迷惑がかかるからということで、彼の参加を取り消したそうです。

 

 

内面が整ってこそバランスが取れる

 

彼は外面を整えることに全てを費やしてしまったため、内面が全く整っていませんでした。

そのバランスの悪さが表出してしまい、女性から敬遠されるという事態におちいっていたのです。

しかし彼はその原因を外面にあると固定してしまっているため、自分の内面を振り返ることをしなかったのです。

 

コミュニケーションの問題ではなく、彼の内面。

つまり心の強さを向上させる必要があったのです。

 

 

 

外面だけを取り繕ったとしても人の内面の特性は、良きにしろ悪しきにしろにじみ出てきます。

人は誰かの内面にあるものを無意識ですが、敏感に察知します。

そうやって問題のある人との関わりを持たないように、自分を守っているのです。

 

誰かに自分を受けて入れて貰いたいのであれば、まずは自分の内面を整えることが重要となるわけですね。

その上で、外面とのバランスをとると、良い人間関係を作っていくことが出来るようになります。

外面とのバランスというのも、整形するべきということはありません。

清潔感を保ち、笑顔で、TPOに合わせた服装をするだけです。

 

今回紹介した彼は、事実をベースにした架空の人物です。

かなり極端な描き方をしていますが、コンプレックスは人を支配する強力な力です。

コンプレックスは執着でもあるので、それを手放すことが重要となります。

 

コンプレックスにフォーカスするのではなく、自分のいいところにフォーカスすることが執着を手放す一つの手法です。

内面を整えることは、より良い未来を迎えるために大切な要素となるのです。