人と人が人間関係を結ぶと、必然的に対人関係のリスクが生まれます。
このリスクは相手から「騙される」「暴力を受ける」といったことではありません。
相手から一方的に向けられる悪意ではなく
自分の行いによって相手から返ってくる反応のことです。
例えば
電車でお年寄りに席を譲ったところ
「年寄り扱いするんじゃない!」
と怒られてしまうかもしれません。
このように対人関係のリスクとは
相手や仲間、そして自分のための行動に
相手からネガティブな反応が投げられるというリスクです。
ハーバード・ビジネススクールのエイミー・C・エドモンドソン教授は
この対人関係のリスクを大きく4つのカテゴリーに整理しました。
今回はその4つのリスクを紹介します。
「無知」だと思われたくない
相手から無知、つまり何も知らないヤツだと思われるのは
とても恥ずかしいことだと感じてしまいがちです。
誰だって恥をかきたいとは思いませんよね。
つまり、そう思われることが、自分にとってのリスクとなります。
そこで多くの人が取る行動が
「知ったかぶり」です。
知ったかぶりが通用しているその瞬間は、相手から無知だと思われません。
恥をうまく回避することができるのです。
恥は人にとって、強烈に避けたい感情です。
それを避けるためには、将来的に不利益を及ぼす可能性があっても
今だけ切り抜けられれば良いと考えるようになってしまいます。
「無知」と思われるリスクを回避するために、
たとえ必要な情報であっても、質問も相談もしない選択を
取ってしまう場合があるのです。
「無能」だと思われたくない
無能と思われてしまったとしたら、どうですか?
自分のプライドはズタズタに傷つけられてしまいますよね。
相手から見下されてしまうかもしれません。
これが会社組織のなかであれば、評価に直結してしまいます。
昇給も昇進も遠のいていく一方ですよね。
誰かから自分のことを無知だと思われないために
ミスをしてもそれを隠すことを選ぶことがあります。
誰がやったかわからないことであれば、なおさら申告しないでしょう。
さらには自分の考えを発表することもしません。
発言内容が評価されなかった場合、無能のレッテルに直結してしまいます。
であれば、発言しないことが最善の策になってしまうのです。
「邪魔」だと思われたくない 助けを求めず不十分でも妥協する
邪魔者という評価は、集団の中にいる個人にとって
非常に恐ろしい評価になります。
なぜなら、邪魔者は排除の対象になり得るからです。
つまり邪魔者だというレッテルを貼られてしまうと
自分の立ち位置が消えて無くなる可能性がでてくるのです。
人の潜在的な欲求として
「所属の欲求」というものがあります。
これはどこかのコミュニティに属することで得られる安心感を求める気持ちです。
邪魔者になったとたん、コミュニティでの居場所がなくなる可能性がでるのです。
非常に大きなリスクと言えますよね。
そうなったとき、必要であっても誰かに助けを求めることを躊躇するようになります。
それだけでなく、不十分な出来であっても、相手にさらなる質を求めずに妥協を選ぶこともあります。
「否定的」だと思われたくない
日本人はとくにこのリスクを回避したがる傾向にあるかもしれません。
というのも日本では「空気を読む」「同調する」ことが、潜在的に求められます。
「和を以て貴しとなす」という言葉があるように、みんな仲良くが良いとされています。
否定的な意思表示をすることは、相手との間に対立関係を作り出します。
つまり「和を以て貴しとなす」の対極となってしまうのです。
同調圧力が強いからこそ、自分の意見が周囲と違っていたとき
自分の意見を率直に言わない選択をするようになります。
本来であれば、それぞれの人の考えを提示しあい
その中から輝くアイデアを作り出すのが健全な対話です。
ですが相手の意見を否定し、持論を伝えることで和を乱すかもと思い
言いたいことを我慢し、素晴らしいアイデアの可能性を
自ら摘み取ってしまうようになります。
このように対人関係にはリスクが存在しており
リスクを避けるために、自己防御の姿勢をとりがちです。
ですが紹介したように、自己防御の姿勢には発展性はありませんよね。
より良い何かを生み出すためには
このリスクを飲んで、立ち向かう必要があるのです。
そのためには、自己の内面を強化することが何より大切になります。
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