部下や後輩を叱るとき、やっちゃいけない8つのことがあります。
でも人によってはこの8つのことを「教育」だと思い込んでいる人がいるんです。もしそんな思い込みを持っている上司だったら、部下はホントにかわいそうだなと思います。
そんな不幸な部下を作らないためにも、あなたがリーダーの立場にいるのであれば、この「8つのやってはいけない叱り方」をチェックしておいて損はないと思います。
間違い1.大げさに騒ぐ
「なんてことしてくれたんだ!」
「とんでもないことをしてくれたな!」
部下のしでかしたことを見て、怒りの感情のままに言いたいことをぶちまけてしまうことです。
もちろんのことながら、ヒステリックに騒ぎ立てたところで相手は萎縮するだけです。もしくは「面倒だな」と反省よりも目の前で騒ぐ人を見下すだけでしょう。
このような然り方をすれば、叱ったほうは多少すっきりするかもしれませんが、やられた側は心の底でバカにしているだけです。
間違い2.頭から否定する
「ちゃんと考えろ!頭使ってんのか!」
「言い訳するんじゃない!」
相手の言い分を全く聞かずに、いきなり否定から入れば、相手だって反撃したくなります。
大切なのは、その行動でどんな損失が出たのかを伝えることで、相手を攻撃する必要は無いのです。
まずは相手の話しに耳を傾け、受け止める姿勢を持つことです。
間違い3.気分で怒る
「気分悪いんだ!手間とらせるな!」
その日は会社に来る前に嫌なことがあり、イライラしていたとします。
そんなときに部下が何かをしでかしたとき、これ幸いと自分のイライラを部下にぶつけてしまう人がいます。
本来であればそこまで怒るようなことでなくても、自分がスッキリしたいために部下を犠牲にしてしまうのです。
ただの八つ当たりですから、周りの人は「面倒なヤツだな」と距離を置かれることになります。
あなたが本当に困っているときに、周囲が手を差し伸べてくれることもなくなるでしょう。
間違い4.人格攻撃
「本当にお前は頭が悪いな!」
「負け犬って言葉が一番似合うな!」
これは最悪です。
言ったほうは気分がいいかもしれませんが、言われたほうは強烈な恨みを持つだけです。
溜まった恨みがどこかのタイミングで爆発して、玉砕覚悟で目の前の敵を葬り去ることもあります。
その瞬間に逆ギレされたらラッキーと思ってください。もしも黙っていたのなら、あなたの未来に何があってもおかしくありませんよ。
間違い5.皮肉を言う
「もっと出来る人だと思ってましたよ」
「これくらい小学生でも分かりますよ」
たとえ感情的になっていなくても、相手を見下したような笑みを浮かべながら皮肉を言うのは厳禁です。相手は必ず怒りを覚えるでしょう。
これが原因で刃傷沙汰になることなんて、古今東西掃いて捨てるほど起きています。
自分の優位性を示したい欲求があるのはわかりますが、結果的に大きな損害を受けるだけです。
そこまでして示す優位性なんてありませんよ。
間違い6.別の問題を引っ張り出す
「半年前もそうだったよな!」
いま目の前のことを注意していたのに、怒りがわき上がると過去の出来事と怒りが結びついてしまうことがあります。
自分のなかで消化できていないことなので、同じ新鮮さの問題に感じられて話しを蒸し返してしまうんです。
仮にあなたが正しかったとしても、言われたほうは「その話しは関係ないだろ」となるのです。
これは女性がやってしまいがちと言われていますので、注意してくださいね。
間違い7.決めつける
「お前はいつも考えが浅いんだよ!」
相手から直接言い分を聞く前に、他人からの報告や状況だけをみて、自分で勝手に思い込んで決めて付けてしまうのはよろしくありません。
仮に今までがそうであったとしても、今回は違うかもしれません。
全てが過去と全く同じということは、ほとんどありません。まずは今、何が起きているのかをしっかり聴く耳を持つことが大切です。
間違い8.脅す
「次やったらクビだからな」
相手のミスをネタにして脅す。
これくらいの覚悟を持って仕事に向き合って欲しいという気持ちは分かるのですが、これでは求心力は育ちません。
「所詮、捨て駒か」と、組織における自分の存在価値を損なうだけです。これでは真剣に取り組もうという気持ちなんて出てきません。
短期的にみると有効に見えるのですが、長期的にはマイナスしか生み出さない手法です。
さて、いかがだったでしょうか。
もちろん僕自身も過去、部下に対してここに書いていることをやらかしています。
なので自分で書きながら、古傷に塩を塗り込んでいる気持ちになりました(苦笑)
もしかすると、あなたも1つくらいは思い当たるフシがあるかもしれません。
怒りは自然な感情。しかし・・・
ちなみに、怒りの感情が湧くこと自体は自然なことです。何も悪いことはありません。
自分の地位や立場、権利が不当に侵害されそうになったとき、暴力で身体に危険が及びそうになったとき、理不尽な扱いを受けたときなど、怒りはそれらをはねのけるエネルギーになります。
これは動物として自然な反応なんです。
ただ問題は、怒りの感情は取り扱いが難しいということ。
莫大なエネルギーを持っているので、そのエネルギーが部下や身近な人に向いてしまっては、信頼関係を一気に崩壊させてしまう危険性も秘めています。
とあるアンケートで「上手に怒れている自信がありますか?」という質問に対して、87%もの人が「自信が無い」と回答しています。
カッとなって怒ってしまい、後で申し訳なくなるという人も少なくありません。
叱ることは難しいことなんですね。
期待を込めた伝え方
相手を叱るときの1つの方法として、元スターバックスCSOの岩田松雄さんは、部下を叱るときの秘訣として
「自尊心を傷つけない叱り方」
を意識していると言っています。
岩田さんがよくやっていたのは「あなたらしくない」というニュアンスで話しをすることだそうです。
例えば
「あなたなら出来ると思っていたし、本来ならできるはずなのに、どうして今回に限って・・・」
といったような感じです。
やっかいな問題の時には
「あなたでさえうまくできなかったのですね、よほど大変な問題だったんだろうね」
という気持ちを持って相手の話しを聞いているのだそうです。
この方法は、感情的に対応するのではなく、理性的な対応と言えます。
また、相手の人格を一切否定せず、相手の自尊心を傷つけることもありません。
このような対応をすることで、相手はことさら自分を守る必要もありませんので、素直に心を開いてくれるのです。
自尊心を大切に扱う
人間関係の最重要ポイントとして知っておくべきことは
「人は大抵の場合、自分の自尊心を満たすために行動をする」
ということです。
つまり、部下や後輩の「自尊心」を満たすことができて初めて、こちらが望んだ行動を取ってくれるようになるのです。
よく相手を行動させるために「脅し」や「恐怖」を使うときがあるのですが、その瞬間は動いてくれても次は動いてくれるかどうかわかりません。
ネガティブなものを使うのではなく、ポジティブなものを使ったほうがお互いにとって心地よいわけです。
それでも相手の行動に怒りが湧いてしまったのなら、その瞬間は動かないことです。
じっと静かに怒りの感情が消えるのを待つことです。
「怒ったときは6秒待て」
とよく言われていますが、これは怒りを誘発させる脳の神経伝達物質が出現して消えるために必要な時間でもあります。
この時間を乗り切れば、怒りにまかせたコミュニケーションにはなりません。
自分の気持ちの持ち方で、今回紹介した叱り方をかなり防ぐことができます。
そのためにも、自分の気持ちをコントロールする技術を身につけることが大切になるのです。
そして多くの場合、うまく自分の気持ちをコントロールできないのには、過剰に我慢してしまっていることが大きな原因なのです。
我慢するから満たされない、満たされないから気持ちがざわざわする。
気持ちがざわざわするから、些細なことにイラッとする。
この繰り返しで、自分自身が疲弊してしまいます。
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