現在の日本において、1日の離婚数は約1600件と言われています。
ということは、2分に1回、離婚が成立しているといえます。
いまこうしてこのブログを読んでいる最中にも、数組の夫婦が離婚しているのです。
これはなかなかインパクトのある数字ではないでしょうか。
そして夫婦が別れる理由を考えたとき、大抵の人は「意見の違い」や「価値観に違い」と考えるかもしれません。
お金の使い方や、休日の過ごし方、子どもの育て方、食事の食べ方に、掃除の仕方。
人にはそれぞれ、自分なりの意見や考え方があります。
それらが食い違うことで、離婚にいたってしまう。
そう考える人が多いと思います。
ですが、全く考え方の違う夫婦であっても、仲良く暮らしている人もいます。
夫婦関係は人間関係における、最も重大な関係だと僕は考えています。
別れる夫婦、添い遂げる夫婦。
この違いをみることで、夫婦関係だけでなく職場や友人との人間関係の構築に役立つヒントを見つけることができるので、今回はそのことについてご紹介します。
20年に及ぶ夫婦生活調査
アメリカで夫婦生活を専門とする学者が、いつも激しく議論をする夫婦を対象に20年にも及ぶ夫婦生活の追跡調査を行いました。
激しい議論というのは、けんか腰で相手と向き合うようなコミュニケーションのことです。
考え方の違いでしょっちゅう対立するような夫婦だと思ってください。
そのような夫婦を何十組も選び、どのようなやりとりをしているかを徹底的に観察すると、3つのタイプに分類することができることに気がつきました。
①相手を威嚇し悪者呼ばわりするタイプ
②怒って黙り込むタイプ
③オープンかつ正直に、効果的な会話をするタイプ
それらの夫婦のその後を20年もの時間をかけて追跡調査を行った結果、90%の確立で、①と②のタイプは離婚に至り、③のタイプは離婚していませんでした。
この結果から、互いに譲れない意見があって対立していて、しかも感情的な状況にあったとしても、相手への敬意を忘れることなく、正直に話し合える夫婦は離婚しないということがわかったのです。
このようなコミュニケーションの取り方は夫婦間だけでなく、職場の人間関係にも当てはまるのではないでしょうか。
ではこれらの3つのタイプを、詳しくみていきましょう。
相手を威嚇し悪者呼ばわりするタイプ
このタイプの人は、相手の声に耳を傾けることを一切しません。
自分の意見が通らない場合
「こんなに素晴らしい意見を理解できないヤツが悪い」
と、自分の意見の正当性のみを主張してしまいます。
これはパワーハラスメントへと繋がっていきます。
このようなタイプの人が会社で権力を持つと、その下にいる人は苦しい思いをすることになります。
どれだけ新しい企画を考えたとしても、その上司の考え方に沿ったモノでなければ認められることはありません。
それどころか全てを否定されて、上司の考え方を押しつけられるようになります。
そうなると部下の人は、自分の持ち味を発揮することが一切できずに、考えることを放棄することになります。
「部下は何も考えないから大変なんだ」
とぼやいている上司がいたのなら、もしかしたらその人自身が部下の意見を叩き潰しているのかもしれません。
自分こそが正しいという気持ちを持つことは悪いことではありませんが、それが強すぎた場合、相手の意見を封殺することになります。
それでは健全な対話はできず、相手はただ何も考えずに指示に従うのみか、自分らしさを求めるためにその場から離れるかのどちらかを選ぶことになります。
いずれにしても良い結果にはなりません。
怒って黙り込むタイプ
このタイプの人は、コミュニケーションを取ることをやめてしまいます。
自分の考えを根気強く伝える努力をしません。
ただ、相手から歩み寄ってくることを待つだけです。
しかも不機嫌である態度をとり続けるので、相手に罪悪感を与え続けるといった、精神的な攻撃を仕掛けるのです。
これはモラルハラスメントへと繋がっていきます。
このタイプの人が会社で権力を持つと、部下の人は常に上司の顔色を伺うことになります。
自分の仕事に集中するよりも、上司の機嫌を取ることを優先するようになるのです。
上司からすれば、もっとも居心地のよい場所になるのですが、部下にとってみれば居心地は最悪です。
何が理由で怒っているかも分からないため、無意味な悩みを持つことになってしまいます。
そうなると部下は、日常的に精神的なストレスを抱えることになり、仕事に集中できずに小さなミスを出しやすくなります。
それをみた上司はさらに不機嫌になって、最悪なサイクルが繰り返されることになります。
仕事の非効率化と、部下の疲弊。
そのような弊害を生み出すのが、このタイプなのです。
オープンかつ正直に
効果的な会話をするタイプ
このタイプは、自分の意見と相手の意見を平等に扱おうとします。
そのため感情的になったとしても一時的なもので、対話によって自分だけが解決するのではなく、互いに解決する道を探ろうとします。
ときには相手を責めることもあるかもしれませんが、あとからちゃんと謝ることができるのもこのタイプの特徴です。
このタイプの人が会社で権力を持つと、部下の人は能力を発揮できるようになります。
互いに意見が違ったとしても、それぞれの意見を否定しあうのではなく、そこからさらに良い意見を見つけ出そうとします。
つまり相手と協力して、問題解決に挑む姿勢を取るのです。
このような対応をされた部下は
「自分は上司から信頼されている」
と感じることができるようになります。
信頼してくれる相手に悪い感情を持つことはまずありません。
信頼してくれるからこそ、自分も何か役に立てることは無いかと考えるようになるのです。
この3つのタイプを大きくまとめると、対話ができるかどうかとなります。
相手の意見を潰すこともせず、自分の意見を言わないようなこともせず、互いに意見を出し合い、よりよい結論を導きだそうとする姿勢を持つこと。
これが、あらゆる人間関係において最も効果的なコミュニケーションとなります。
あなたも「対話」を心がけて、より良い人間関係を構築してくださいね。
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