昨今、多くの企業や組織で取り入れられているのが「1on1ミーティング」と呼ばれる、上司と部下や、先輩と後輩と行う一対一のミーティングです。
1on1ミーティングはお互いの信頼関係を深める効果もあり、コミュニケーションの改善、パフォーマンスの向上、チームビルディングの促進など、さまざまな効果が期待されます。
ですがいくら1on1ミーティングをやっても、効果を実感できない人もなかにはいるのではないでしょうか。
実は質の高い1on1ミーティングをするには、ある鉄則があるのです。
これを満たせないでいると、1on1ミーティングをやればやるほど部下や後輩のモチベーションは下がってしまうのです。
今回は1on1ミーティングを成功させる秘訣についてお伝えします。
1on1ミーティングの目的とは?
そもそも1on1ミーティングはなんのために行われているのか?
ここを明確にしないことには、質の高い1on1ミーティングを行うことはできません。
まず1on1ミーティングの目的を考えたとき、様々なものが浮かんでくるのではないでしょうか。
「信頼関係の構築」「心理的安全性の構築」「業務状況の共有」「指導」「目標達成のアドバイス」などなど。
これらは仕事を効率的、効果的にすすめるためにとても大切な要素となります。
そのため、これらのことを目的にした1on1ミーティングが実施されてしまいます。
ですがいきなり上記のような目的を目指してしまうことで、1on1ミーティングがうまく機能しなくなってしまうのです。
実は1on1ミーティングを成功させるためには、いきなり上記のような目的を目指してはならないのです。
まずは土台作りから
1on1ミーティングでなにより重要になるのが、土台作りです。
この土台作りというのは「相手を理解する」と言い換えることができます。
どのような人間関係にも当てはまるのですが、相手のことを理解しないまま心地よいコミュニケーションをとることはできません。
相手がどのようなことをどのように感じ、どのような考えを持っていて、何を大切にしているのか。
どのような状況で、どのような気持ちになるのか。
何が得意で、何が不得意なのか。
何が好きで、何が嫌いなのか。
相手の個性を理解することがなにより大切になるのです。
これは一方通行の理解ではなく、相互理解でなければ意味がありません。
上司が部下のことを深く理解していても、部下が上司のことを理解していなければ打ち解けた会話は生まれません。
もちろん上司や先輩がリードしていくのですが、そのときにどれだけの自己開示ができるかが鍵になってくるのです。
相互理解の後
相互理解が出来たのなら次に意識することは「状況理解」となります。
部下がいま、どのような状況にあるのかの理解に務めます。
つまり質問を繰り出し、相手から状況を引き出していきます。
「作業状況は?」
「仕事をすすめるなかで、疑問に思うことは?」
「直面している問題は?」
「不足しているものは?」
「欲しい協力は?」
徹底的に相手からいま何が起きているかを引き出していきます。
ここでついついやってしまうことがあるのが「アドバイス」です。
質の高い1on1ミーティングを行うのなら、アドバイスは求められたときだけ行いましょう。
求められていないアドバイスほど不愉快なものはありません。
1on1ミーティングをしても部下や後輩との距離が縮まらないのは、余計なアドバイスをしていることが原因なのです。
余計なアドバイスは・・・
求めてもいないアドバイスをされると、人はそれをアドバイスとは認識せずに「説教」をされているように感じるのです。
人は説教をされると耳を塞ぎたくなります。
そもそもアドバイスを求めていないということは、自分なりの解決策を持っているのです。
どのような解決策を持っているかを聞きもしないで「○○するといい」と言われると、自分の考えを否定されているように感じてしまうのです。
でもアドバイスしたくなる気持ちも痛いほど分かるんです。
自分も苦労したから、その苦労をさせたくない。
そういった親心によって、アドバイスをしたくなるんです。
つまりアドバイスは、相手への優しさでもあるんです。
その気持ちは分かるのですが、それでも、求められていないアドバイスは相手にとって不愉快極まりないことのように感じてしまうのです。
相手が心地よくアドバイスを受け取るために、アドバイスをする側はアドバイスが必要かどうかの確認をとりましょう。
それだけで、互いに嫌な気持ちになることもありません。
このように1on1ミーティングを成功させるコツは、相手の置かれた状況を徹底的に理解しようとする姿勢を持つことなんです。
そこを満たさずに1on1ミーティングを実施しても、相手は上から目線のミーティングにしか感じられません。
ミーティングを重ねることでストレスが増し、パフォーマンスは下がってしまうのです。
うまく機能していない1on1ミーティングでは、上司側がペラペラ話していることが多いです。
そうではなく部下にたくさんのことを語ってもらう場をめざしましょう。
上司がするのはアドバイスではなく、短い質問だけでいいのです。
どうしてもアドバイスがしたいときは、必要かどうかの確認をすること。
これを意識することで、質の高い1on1ミーティングを行えますよ。
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