ここ最近というよりも前から感じていたことがあります。それは、人望がある人は自分が間違っていたら潔く謝っているということ。
その逆に、人望がない人ほど「自分は悪くない」「自分は間違ってない」と、自分の非を認めようとしません。
どうしてこんなに差が出るのかというと「自信の有無」が関係しているのです。
自信の無い人は謝ることで「自分の権威に傷がつく」とか「立場が不利になる」とか思って、かたくなに謝ろうとしません。
でもこうした態度をとることで、余計に人からの信頼を失っていくのです。
その結果、自分が不利益な報いを受けることになってしまいます。
それを実証するための面白い実験がありました。
実験
この実験では謝罪の有無でどのような違いがあるのかを調査しようとしたのです。
学生を対象に5ドルの報酬で簡単な作業を手伝ってくれる人を募集しました。
ちょっとした小遣い稼ぎということもあり、それなりの人数が集まります。
集まった人をA・B二つのグループに分けて、実験が行われました。
ただこの実験の面白いところは、報酬をわざと5ドルよりも多く支払うことにありました。
そうなったとき、正直に差額を返してくれるのか、それとも黙って受け取ってしまうのかを観察したのです。
Aグループでは普通に作業内容を説明し、作業終了後に約束よりも多い報酬を支払いました。
Bグループでは作業内容を説明している途中に外から説明者に電話をかけ、説明を強制的に一時中断します。電話の時間はたったの12秒ですが、説明の中断を謝罪することなく説明を再開しました。そしてAグループと同じように、約束よりも多い報酬を支払いました。
実験結果
A・Bのグループで違うところは、謝罪をしなかったという事実のみです。
その結果、Aグループでは45%の人が報酬の間違いを指摘して差額を返してくれました。しかし、着信に邪魔されて謝罪すらなかったBグループではたったの14%の人しか、差額を返してくれなかったのです。
たった十数秒の対応の差で、正直な作業者の割合が3分の1になってしまったのです。
デューク大学で心理学と行動経済学を専門とするダン・アリエリー教授は「人に対する無礼は復讐心をあおる」と言っています。
つまり、失礼な扱いをされたのだから、仕返しする権利が自分にはあると思うわけです。
この実験においては、多すぎた報酬を返さないことが仕返しになるわけです。
復讐心を侮るなかれ!
こうした心情は、僕たちの社会で色んな行為として現れます。
ネットの世界を見ると、こんな話題に事欠きません。
それだけでなく、一緒に働く同僚が間違いを認めずに謝ってこなかったなら、その同僚がまた間違いそうになったときにそれを教えることをやめてしまうかもしれません。
実際に僕も会社員時代に同じような状況になったとき、敢えて間違いを事前に指摘しなかったことがあります。
困っている同僚をみて溜飲を下げたこともあります。
お店側が誠意ある謝罪をしなかったことで、利用者がSNSにその内容をアップして炎上することも多いですよね。
意固地になって謝罪をしなかった後にやってくるしっぺ返しの威力は、何十倍になることもあるのです。
謝罪の威力
実はさきほど紹介した実験には続きがあります。
Cグループがいたのです。
CグループではBグループと同じように、説明途中で電話がかかってきて説明が中断されます。しかし違うのは、電話対応が終わったあとに説明が中断してしまったことの謝罪をしたのでした。
すると差額を返してくれた人の割合は、Aグループと同じになったのです。
つまり謝罪をすることで無礼な行為を水に流してくれたというわけです。
この実感からえられる教訓は
「心からの謝罪は相手の怒りを鎮める効果が大きい」
ということです。
相手がお客様であっても、上司や部下であっても、家族や友人でも同じです。
謝罪もせずに「たいした問題ではない」という態度を取ることで自分を守ることはできますが、事態が良くなることはありません。へたをしたらさらに悪化するだけです。
その場を乗り切ったとしても相手は、復習できるタイミングを虎視眈々と狙っていることでしょう。
しかも一番効果的なタイミングで復讐するようになるので、受けるダメージは甚大です。
今の自分を守るのではなく、未来の自分を守るために素直な謝罪を意識してみましょう。
心を込めて謝る。
これだけで未来の損失を防ぐこともできますし、相手との関係を損なわずに済みます。
謝罪をしたからといって自分の価値が下がることはありません。
それどころか上がります。
謝罪の効果をぜひ活用してくださいね。
コメントをお書きください