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効果的な伝え方

 

相手に何かやって欲しいとき、それが単純なことであれば伝えるのはさほど難しくありません。

例えば、ボールペンを取って欲しいときなどは

「ちょっと、そこのボールペンを取って」

と、相手にして欲しい行動を伝えればいいだけです。

 

ですがそこに色々な条件が付いてくると、何から伝えれば分かりやすいだろうとちょっと悩むことはありませんか?

 

今回は、条件付きの指示出しをするときの簡単なコツについてお伝えしたいと思います。

 

 

条件

 

あなたは三日後に三人の知り合いと会うことになりました。

彼らと会うときは、それぞれがちょっとした手土産を持ってくることが恒例となっています。

 

どんな手土産が良いか考えていたところ、ステラおばさんのクッキーのお店では「9」の付く日は、10枚のクッキーをほぼ半額の590円で買えることを知りました。

高価な手土産は気を使われてしまうので、ちょうど良い値段だと思いお店に買いに行きました。

 

お店につくとショーケースの中にはチョコチップクッキーや、キャラメルクッキーなど色々な種類のクッキーがあり、好きなクッキーを選ぶことができます。

あなたは5種類のクッキーを2枚ずつにして、10枚にしようと考えました。

自分の分も含めて、同じ内容のセットを4つ買うことにします。

手土産なのでお持たせ用の紙袋も必要です。

 

お店ではクッキーを選ぶ担当の人と、お会計の担当の人が違います。

さて、どのように伝えれば一番分かりやすく、あなたの要望を伝えることができるでしょうか?

 

 

ぜひ考えてみてください。

 

 

伝えてみよう

 

さて考えて頂けたでしょうか。

あなたはどのような伝え方で店員さんに伝えたでしょう?

 

例えば、このように伝えたかもしれません。

 

「チョコチップを2枚、ヨーグルトを2枚、キャラメルを2枚、バタースカッチを2枚、オレンジマーマレードを2枚下さい。

それと同じものを4セット作ってください。

あとお持たせ用の紙袋も3つ付けてください」

 

このように一気に伝えたかもしれません。

 

もちろんこの伝え方でも問題ありませんが、少し工夫することでもっと分かりやすく伝えることができるのです。

 

例えばこのような感じです。

 

クッキー担当の方に

「これからお伝えする種類のクッキーをそれぞれ2枚ずつ下さい。そしてそれと同じセットを4つお願いします。

チョコチップ、ヨーグルト、キャラメル、バタースカッチ、オレンジマーマレード。以上です」

 

レジ担当の方に

「お持たせ用の袋を3つお願いします」

 

 

さて、この伝え方、何が違うかお気づきでしょうか。

 

 

伝え方のポイント

 

まず最初の伝え方の場合、クッキーの種類と枚数をそれぞれ伝えています。

すると「2枚」という言葉を5回繰り返さなければならず、効率的とは言えません。

また、相手の人が枚数を聞き違える可能性が生まれてしまいます。

 

それに加え、クッキー担当の方に紙袋のことも伝えています。

ということはクッキー担当の方から、レジ担当の方へ伝言しなければなりません。

ここでも最悪の場合、紙袋の枚数を間違えてしまう可能性がでてきます。

 

 

では2つめの伝え方を見ていきましょう。

 

最初に「伝える種類のクッキーをそれぞれ2枚ずつ下さい」と、条件を伝えているため「2枚」という言葉はそれ以上使うことがありません。

店員さんも2枚でよいと分かっているため、枚数間違いを防ぐことができます。

 

また、紙袋を準備するのはレジ担当の方なので、直接伝えることで伝達ミスが起きません。

 

 

とても単純なことですがここで使っているポイントは2つです。

①まとめられる情報をまとめて伝える

②相手に必要な情報のみを伝える

たったこれだけの工夫で、伝達効率の向上と伝達ミスを防ぐことができるようになります。

 

 

伝え方が長くなる理由

 

お伝えしたとおり、情報をまとめることでシンプルに伝えることができるようになります。

ですがそれぞれのクッキーの枚数を何度も伝えてしまうような話し方をする方の場合、イメージをそのまま伝えてしまっていると言えます。

 

これはどういうことかというと欲しいものを考えると頭の中に

・チョコチップが2

・ヨーグルトが2

・キャラメルが2

・バタースカッチが2

・オレンジマーマレードが2

10枚入りのセットが4セット

・三枚の紙袋

という「イメージ」が生まれます。

 

そして、自分の中にあるイメージのまま言葉で伝えようとしてしまうのです。

どうしてイメージのまま伝えるかというと、情報を加工する必要がないため楽なんです。

「イメージ」→「言葉」

となって、ステップが少なくて済むんですね。

 

情報をまとめるというのは、このイメージの中にある共通項目を探すということです。

そうすれば伝える情報量は少なくなるのですが、

「イメージ」→「情報の加工」→「言葉」

となり、ステップが増えてしまいます。

 

脳はエネルギーを多く消費する「考える」ことを極力やりたくないため「情報の加工」を飛ばしてしまうんです。

そのせいで、言葉として伝えるときに説明が長くなってしまうのです。

 

そして頭の中にあるイメージ情報をすぐに吐き出したいという気持ちもあるため、相手に不要な情報まで伝えてしまうんですね。

 

 

脳はサボることを常に意識しているので、分かりやすく伝えると意識していなければどうしても伝え方が長くなってしまいます。

これは誰にでも起こることなので、ある意味で仕方がないことだったりするんですね。

 

でも「コンパクトに伝えるぞ」と意識するだけで、脳を働かせることができるようになります。

そのときには「まとめられる情報」がないかをぜひ探してみてくださいね。

それだけで伝え方がかなり変わりますよ。