ハイキングに行く計画を練っているとき、誰を誘おうかなとなったとき
「○○さんが来るといつも雨になるし、今回は誘うのやめようか」
と思うことはありませんか?
さすがにここまで露骨に誘う人を選ぶようなことはないでしょうけど、○○さんが来ると雨が降るといったような「雨男」「雨女」のレッテルを貼ってしまうことはありませんか?
実はこれ、錯誤相関という思考のクセが原因だったりするんです。
今回はこの、勘違いや思い込みを生んでしまう錯誤相関についてご紹介していきます。
錯誤相関とは?
実際には関連しないできごとの間に、間違った関連性を生み出してしまうことを錯誤相関と呼びます。
ちょと堅苦しい説明ですが、まさに「雨男」「雨女」は錯誤相関の代表例と言えます。
例えば、あなたの友達に雨夫君という人がいたとします。
みんなと遊びにいくときに雨夫君が一緒に参加する割合が、3~4割程度だったとします。
雨夫君が参加したときに雨が降るといった経験を10回ほど体験したとき、あなたのなかで
「雨夫君がくると雨が降る」
といった法則が生まれてしまいます。
ですがそれは、たまたまあなたと雨夫君が一緒にいるときに雨が降っていただけでしかないんです。
雨夫君が雨を降らせているわけではないんですね。
にも係わらず、雨夫君がいると雨が降るといった関連性を生み出してしまうのです。
錯誤相関は恐ろしい結果を生む
さて、雨男と勝手に決められた雨夫君からすれば、とんだ言いがかりですよね。
ただの言いがかりで済んでいれば、それほど大きな問題になりません。
ですがもしも、雨夫君のグループのみんなが
「雨夫君が来ると雨になるから、もう誘うのはやめよう」
と考え出したらどうなるでしょうか。
雨夫君からすれば、理由も分からずに友達から避けられるようなものです。
もしも理由を聞かされたとしても、到底納得することはできません。
そもそも雨夫君と一緒にいるときに雨が降っているということは、自分がいるときに雨が降っているとも考えられるわけです。
自分が不利になることは無視して、勝手なレッテルを貼ってしまっているんですよね。
この錯誤相関が行きすぎたものの代表例が、中世の魔女狩りです。
中世のヨーロッパでは黒死病が大流行し、ヨーロッパ人の1/3が命を落としました。
最近あったコロナとは比べものにならない程の人が犠牲になったのです。
その当時の医療技術や知識では、黒死病を抑えることができません。
原因すら見つけられないため、超自然的な悪魔の力が社会を破壊しようとしていると信じるようになっていきました。
15世紀のキリスト教会は、エデンの園に罪をもたらしたのは最初の女性であるイブだと信じられていました。
そのため、人が次々と倒れていく現象は魔女のせいだと決めつけたのです。
当時の審問官たちは女性を標的にして魔女を洗い出そうとしていきました。
少しでも怪しい行動をとった女性は魔女と疑われ、激しい拷問を受けることになります。
その結果、全く関係のない2万5千人もの女性が無残に命を奪われてしまったのです。
二度と繰り返してはならない悲劇だと思います。
錯誤相関を防ぐために
現代において中世の魔女狩りのような悲劇は起きないと思っているかもしれませんが、そんなことはありません。
錯誤相関のせいでさまざまな不利益を受けている人もいますし、錯誤相関のせいで間違えた判断をしてしまい、思いも寄らない損害を受けてしまう場合もあります。
このようなことを防ぐには、なによりも立ち止まって考えることが大切になります。
そのときに有効な視点が
「批判的に考える」
というものです。
錯誤相関は深い考察をすることなく、生み出された結論でしかありません。
考えていないからこそ、訳の分からない決めつけをしてしまうのです。
では批判的に考えるにはどうするとよいか?
ということですが、以下のような取り組みが有効になります。
・事実と解釈を明確に区分してみる
・情報の正しさを検討してみる
・反対意見を同じ数だけ探す
・別の視点から考えても同じ結論になるかを検討する
このように思い込みを手放すには、考え続けるしかありません。
手っ取り早い結論ほど、錯誤相関のような認知バイアスにとらわれている可能性が高いと思ってください。
実際にそうなってますから。
脳はできるだけ考えずに、それらしい答えを見つけるプロです。
そんな罠にはまらないように注意してくださいね。
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