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対人関係問題の本質とは

 

心理学者のアドラーは

「全ての悩みは対人関係の悩みである」

と言ったことは有名です。

 

確かに対人関係の問題が一切なければ、職場でのストレスや家庭でのストレスはかなり軽減されるでしょう。

友人関係や恋人との関係などでもいざこざが起きないため、楽しい時間を過ごすことができそうです。

 

良好な対人関係を作ることのメリットは誰もが理解しているのに、それをうまく作り出せないのは不思議なことですよね。

 

冒頭でもお伝えしたように、アドラーは対人関係の悩みがすべての根源であると説いています。

では対人関係は何によって決定付けられるのでしょうか?

今回は対人関係を決定付ける要因についてお伝えしたいと思います。

 

 

対人関係を決定付けるものは

 

いきなりですが結論からお伝えすると、対人関係を決定付ける要素は「コミュニケーションスタイル」になります。

どのようなコミュニケーションを取るかで、対人関係が決まってしまうんですね。

 

コミュニケーションのスタイルを分かりやすく3種類に分類すると

・盾型スタイル

・中庸スタイル

・剣型スタイル

の3つになります。

 

このうち、対人関係にゆがみをうんでしまうスタイルは「盾型スタイル」と「剣型スタイル」となり、「中庸スタイル」だけが対人関係を良好なものにします。

 

そして人は自分のコミュニケーションスタイルを無意識的に決めて、そのスタイルを一貫して使うようになります。

そのため付き合う人が変わっても、いつも同じ問題と直面することになるんです。

 

ではそれぞれのスタイルの特徴を見ていきましょう。

 

 

盾型スタイル

 

盾型のコミュニケーションスタイルと取る人は、基本的に自分の意見を強く主張することはしません。

というのも人から嫌われることをとても気にするので、自分が何かを言って相手を不快にさせることを避けようとする傾向にあります。

 

そのため相手の顔色を気にしたり、相手の意見を優先しようとしてしまいます。

 

自己主張をしなかったり相手を優先したりしているのですが、自分の意見が無いというわけではありません。

自分の意見があっても、それをぐっと抑え込んでしまうんです。

 

常に我慢をしているタイプと言えます。

 

そのため気疲れしやすく、人と話すことそのものに大変なエネルギーを使っていると言えます。

相手の人が少しでも不機嫌そうな雰囲気を出すと、自分がなにかしたと考え、相手の不機嫌は自分のせいだと考える傾向にあります。

 

人と会うと疲れるという経験を重ねてしまうことで、一人で過ごすほうが楽だと考えるようになり、人付き合いから遠ざかる傾向にあるんですね。

盾型スタイルの人は、いつも気疲れするという問題を抱えてしまうんです。

 

だからこそ、気を使わなくてもいい人が現れたとき、その人に強く寄りかかるような態度を取ってしまうことがあります。

その結果、相手の人から少しでも避けられるようになると、自分を強く責めてしまい、ますます人を避けるようになってしまう場合があります。

 

 

剣型スタイル

 

剣型のコミュニケーションスタイルを取る人は、基本的に自分の考えこそが一番正しいと考えがちです。

そのため自分と違う考え方の人に対して、強い反発をすることになります。

 

また、相手に自分の意見をごり押しするので、自分の意見が通らなかったときには非常に不機嫌になってしまうこともあります。

 

自分が正しい、自分が一番と考えているため、周りの人のことを見下す傾向にあります。

そのため相手の気持ちを考えることをせず、トゲのある言葉を平気で使ったりします。

自分の言葉で相手が傷ついたとしても、反省することはほとんどありません。

反省どころか、本当のことを言ってなにが悪いといった態度を取ったりします。

 

基本的に相手が間違っていると考えているので、自分には一切の責任はないと考えがちです。

 

自分と同じ意見の人とは仲良くなれるのですが、違う意見の人への敵対心は非常に強いものになります。

そのため対人関係を敵か味方かで判断しがちです。

 

自分の考えを相手に押しつけ、相手の意見には耳を貸さないため、人はどんどん離れていきます。

それでも自分が悪いと考えるのではなく、相手が悪いと思うため、自分の悪いところに気づけないまま年齢を重ねてしまい、孤立してしまうおそれがあるのがこのスタイルといえます。

 

 

中庸スタイル

 

中庸のコミュニケーションスタイルを取る人は、人はそれぞれ考え方が違うと考えることができます。

そのため、相手と全く違う意見であっても素直に伝えることもできるし、相手にその考えを強要することもありません。

 

相手を一人の人間として尊重し、相手の話に耳を傾け、自分の考えも伝え、互いに納得できる考えを見つけ出そうとする姿勢を取ります。

 

感情的にも安定しており、へんにへりくだることも、声を荒げることもほとんどありません。

自然体で相手と接することができるため、相手に安心感を与えることができます。

 

損得で人と付き合うというよりも、自分の感覚で人を選ぶ傾向があります。

一緒にいて心地よいと思える人と付き合い、居心地が悪い人とは一定の距離をあけるため、不要なストレスも受けません。

 

相手から嫌われたとしても、人が自分のことをどう思うかはその人の自由ということを当然としているので、それほど気にすることもありません。

 

良好な対人関係をつくるうえで、もっとも優位性のあるスタイルとなります。

 

 

コミュニケーションで決まる

 

対人関係は結局のところ、コミュニケーションで決まります。

そしてどのようなスタイルを取るかで、どのような対人関係になるかもだいたい決まっているんですね。

 

コミュニケーションスタイルは一貫して取るようになるとお伝えしましたが、これは全ての人に対してというわけではありません。

Aさんには盾型スタイル、Bさんには剣型スタイルといったように、相手によってこのスタイルを変えてしまったりします。

 

そして一度そのスタイルが決まったなら、Aさんには常に盾型スタイルを取るようになってしまうんです。

ということは、コミュニケーションスタイルは自分で決めることができるとも言えるんですね。

盾や剣ではなく中庸を選んでみることもできるわけです。

 

自分は盾しかやっていないとか、自分は剣しかやっていないということのほうが少ないんです。

スタイルは自由に選べることができると、知っておいて欲しいんですね。

 

そうすることで、中庸スタイルを取れるようになるんです。

 

 

良好な対人関係をつくるには、良好なコミュニケーションが必要です。

ぜひ良好なコミュニケーションを取るように意識してみてくださいね。