「恐怖心」はヒトであれば、誰でも持っているものです。
これがなければ、命はいくつあっても足らないと言えます。
ヒトが棍棒をもって、原始的な生活をしていたとき、用心深くなければ生きのびることはできませんでした。
周囲には猛獣や毒のある生き物、昆虫など、命を脅かす脅威はそこかしこに存在していました。
そういった脅威から身を守るためには、ほんのわずかな違和感を敏感にとらえて、即座に反応しなければなりません。
ヒトの脳は長い年月をかけて、潜在的危機を検知するシステムを作り上げました。
それが「恐怖」なんですね。
そしてこの恐怖には2つの種類があります。
それが「合理的恐怖」と「非合理的恐怖」です。
成功脳を作るには、この2つの見極めが重要となります。
ということで今回のブログは「恐怖」をテーマにして、お届けしたいと思います。
恐怖にとらわれると
まず最初に、脳が恐怖にとらわれてしまうとどうなってしまうのか?
そのことについてお伝えしていきたいと思います。
ヒトの脳は外側の情報を認識するとき、五感を通して情報を取り入れようとします。
脳の情報処理をざっくりお伝えすると
入ってきた情報が視覚情報であれば後頭葉、聴覚情報であれば側頭葉、体感覚情報であれば頭頂葉が、それぞれ情報処理を行います。
例えば目から入った情報であれば後頭葉に届けられ、これまで蓄積してきた情報と照らし合わせて判断して、どのような反応を取るのが相応しいかをはじき出しているんですね。
ですが恐怖を生み出すような刺激が入ってくると、後頭葉、側頭葉、頭頂葉といった「考える脳」で情報処理をする前に、感情をつかさどる扁桃体にダイレクトに情報が届けられます。
すると「恐怖」という強烈な感情が生まれてしまうため、「考える脳」の機能が一時的にストップしてしまうことになるんです。
そうすると考えてから判断するといったことをせず、反射的な反応をしてしまうようになるんです。
その反応は4つのモードがあり
・闘争:脅威と戦う
・逃走:脅威から逃げ出す
・フリーズ:その場で固まる
・失神:現実を受け入れられず失神する
といった反応を示すようになります。
つまり考えることができなくなってしまうんです。
これでは適切な対応なんて望むことができません。
非合理的恐怖
たとえば、あなたが高校生のときに授業でスピーチをすることになったとします。
みんなの前に立ってスピーチをしたとき、うまく話すことができずにしどろもどろになって、クラスメイトに笑われてしまったとします。
あなたはきっと困り果てて、強い屈辱感を持つようになるかもしれません。
そうなると人前に立って話すことは、精神的な苦痛をともなってしまうんだと、潜在意識が学習してしまいます。
この瞬間に「人前でのスピーチ」は、あなたにとって「危険な状況」と設定されてしまうんです。
そこから年月がたって大人になったあなたは、これからはより多くの価値を届けるために、人前に立ってスピーチをしたいと考えるようになったとします。
そして実際にそういった機会を作ろうと考えはじめたとたんに、潜在意識が
「高校のときの授業を思い出せ! あんな思いは二度としたくないだろ!?」
と、警報を鳴らしはじめるんです。
人前に立ってスピーチをすれば、多くの価値提供ができることは分かっているんです。
ですがそれをすると、あの嫌な状況になってしまうかもしれないと、なんの根拠もなく思い込んでしまうんです。
まさに非合理的な考えですよね。
この非合理的恐怖にとらわれてしまうと、無意識的に次のような問題行動をとることになってしまいます。
・行動を先延ばしする
やるべきことをやらずに、何かほかの無難なことをやって、不安や恐怖を和らげようとするようになります。
先延ばしをしたことで問題が大きくなって、さらに大きな不安や恐怖、緊張を生み出すことまで考えが回らなくなります。
・目標達成のための行動がとれなくなる
やったほうがいいと分かってはいるものの、その行動そのものが怖いため一歩を踏み出すことができなくなってしまいます。
結果的に達成がいつまでたっても近づいてこなくなってしまいます。
・本来の能力が使えなくなる
脳が恐怖モードに入ってしまうと「考える脳」の機能が一気に低下してしまいます。
そのため適切な対応が取れずに、場当たり的な反応だけしかとれなくなってしまいます。
全てがその場しのぎの行動になってしまうので、望んだ結果を手に入れることができなくなってしまいます。
・挑戦意欲が消える
楽観的に考えることができなくなるので、悪い結果になるイメージしか浮かばなくなってしまいます。
そのため挑戦へのモチベーションが下がり、何もしないことが正しいと自分自身に言い聞かせるようになってしまいます。
このように、非合理的恐怖にとらわれてしまうと、身動きが取れなくなってしまうんです。
結果的に不満ばかりが溜まってしまって、人生の満足度も下がってしまうのです。
合理的恐怖
その一方で合理的恐怖の場合は、これから取ろうとしている行動の質を高めることができます。
なぜ自分はそれをすることに恐怖を感じているのか?
恐怖の原因に冷静に目を向けることができるんですね。
簡単にいうと、その行動をするために足りていないものを見つけることができるんです。
足りないものに気づけたのなら、足りないものをおぎなえばいいだけですよね。
例えば「人前に立ってスピーチをする」ために足りないものであれば
・話す内容
・声の大きさ
・目線の動かし方
・間の取り方
・場数
などが考えられます。
こういった要素を見つけ出しさえすれば、それを整えるために何をしたらいいかも見えてきますよね。
合理的恐怖の場合は、その恐怖を打ち消すための方法を見つけ出すことができるようになるんです。
非合理的→合理的
では非合理的恐怖から合理的恐怖へ、どのようにすれば切り替えることができるのでしょうか?
その方法はいたってシンプルです。
1:恐怖心と戦わない
怖いという感覚が芽生えてきたときは「どうしよう」と解決策を考える前に、いま感じている恐怖をそのままじっくりと意識してみます。
「自分はいま、怖がっているんだな」
と、どのような感覚になっているかを客観的に観察するようにしていきます。
まずは、怖がっている自分を理解してあげるようにします。
2:深呼吸する
恐怖心があるとヒトは無意識的に、呼吸が浅く速くなってしまいます。
ということは、浅く速い呼吸のままだと、恐怖心は一向に和らいでくれません。
なのでまずは呼吸のリズムを意識的に変えてあげることで、まずは身体の状態を恐怖状態から抜け出すようにしていきます。
3:笑顔を浮かべる
呼吸を整えたあとは、表情筋の緊張を和らげます。
それには笑顔を浮かべることが最善策となるんです。
楽しいと自然と笑顔がでますよね。
これは気持ちが楽しいから表情も楽しいものになるわけですが、この反応は逆向きにも作用するんです。
つまり、笑顔を浮かべることで気持ちも楽しくリラックスできるようになるんですね。
この3つのステップを取ることで、気持ちは落ち着きを取り戻すことができます。
気持ちが落ち着いたということは「考える脳」を存分に使える状態といえるんですね。
あとは、その恐怖が何から生まれているのかを考えて、その原因を打ち消すための対策を練っていけばいいだけです。
恐怖心は自分自身に
「まだ足りないものがあるよ、でも準備すれば大丈夫だよ」
と教えてくれていると言えるんです。
つまり恐怖は、自己成長には欠かせない感情でもあるんですね。
恐怖に飲まれてしまうと何もできなくなってしまいますが、恐怖を上手に扱うことができるようになると、自分の可能性をさらに広げることができるんです。
非合理的恐怖から合理的恐怖に切り替えて、あなたの可能性をさらに広げていってくださいね。
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