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2つの名作を切る

 

今回はある2つの物語を取り上げるのですが、かなり無粋な内容になっています。

その2つの作品が言わんとしていることは、重々承知しているわけですが、あえてツッコミを入れるとどうなるか?

という意味合いでの扱いになっています。

 

ですので

「お前はこの作品の本当に素晴らしさを分かっていない!」

というクレームは差し控えていただければと思います。

 

というよりも、なんとかその方向で宜しくお願いします。

これ「フリ」じゃないですからね!

 

 

1つ目の物語

 

あなたは「賢者の贈り物」という物語をご存じでしょうか?

この物語は、アメリカの作家オー・ヘンリーの短編です。

 

とある貧しい夫婦が、クリスマスプレゼントを贈ろうとそれぞれが考え、相手を驚かせようと思っていました。

 

夫の宝物はおじいさんの代から受け継がれていた金の懐中時計で、妻は膝下まで届く美しい髪を持っていたんです。

 

夫は妻が前々から欲しがっていた、美しい髪を手入れするための鼈甲の櫛をプレゼントするために、宝物の懐中時計を売り

 

妻は夫の懐中時計につけるためのプラチナのチェーンを買うために、髪の毛を買い取る商人に宝物の髪の毛を切り売ってしまったのでした。

 

互いのプレゼントは互いの大切なもののために買ったのですが、それが無くなってしまい、お互いのプレゼントは無駄になってしまうという物語です。

 

 

2つ目の物語

 

こちらは名作中の名作である「ロミオをジュリエット」です。

 

こちらの作品の粗筋をざっくり紹介すると、舞台はイタリアの都市ヴェローナ。

モンタギュー家とキャピュレット家は代々対立しており、非常に仲が悪い。

 

ですがあることが切っ掛けで、モンタギュー家の一人息子であるロミオと、キャピュレット家の一人娘ジュリエットが出会い、恋に落ちてしまいます。

 

ですがロミオが両家を巻き込むトラブルを起こしてしまい、ヴェローナな街から追放されることになってしまいます。

その結果、ジュリエットは別の男性と婚約することになります。

 

しかしジュリエットはロミオを忘れることができず、どうにか一緒に暮らせないかと策を練ります。

そこで修道女のロレンスから「仮死の毒」を受け取り、薬を飲んで死んだことにして、葬儀が終わった後にロミオと共に街を出る計画を立てました。

 

しかしその計画がロミオに伝わらず、本当にジュリエットが死んでしまったと勘違いしてしまい、ロミオは仮死で眠るジュリエットの側で本物の毒を飲み自殺してしまう…。

 

というシェイクスピアの傑作です。

 

 

あえて2つの作品を切る

 

さてこの2つの物語、どちらも深い愛の物語ですよね。

ですがそれをあえて、コミュニケーションの大切さを伝えている僕の立場から言わせてもらうと

 

「お前ら、ちゃんとコミュニケーションとれよ」

ってことなんです。

これが無粋であることは百も承知です()

 

どちらの物語にも共通するのが

「良かれと思って」やってしまっているんですよね。

 

賢者の贈り物の場合は、驚かせてあげたいという気持ちは分かるのですが、取り返しの付かない結果になっているんです。

髪の毛については時間がたてばのびてくるので、鼈甲の櫛が無駄になることはないですが、懐中時計は売り払ってしまっていますからね。

しかも代々受け継がれたものですから、なかなかの被害ですよ。

 

もしもこれをどちらか一方でも

「プレゼントを買うために大切なものを売ろうと思う」

と、話していたのなら、その想いは互いに伝わるし、大切なものを失うこともなかったわけです。

 

 

ロミオとジュリエットについても、ジュリエットが立てた計画がロミオに伝わったかどうかの確認くらいはしないと。

 

もちろん時間がないということもあるかもしないですが、死を偽装するんであればタイミングなんてぶっちゃけいつでもいいんですよね。

 

それを怠ったがために、命を落とすという最悪の結末になってしまったんです。

 

 

伝え合う意味

 

自分の想いを伝えることは、未来の結果に大きな影響を与えます。

これはこの2つの物語に限った話しではありません。

 

例えば、大切なパートナーに愛していることや、感謝していることを伝えていないと、後々になって関係に大きな亀裂が入ってしまうかもしれません。

この手の話しは、そこら中に転がっていますよね。

 

想いを伝える、考えていることを伝える。

これって互いに損をせずに済みますし、互いにもっと良い関係にしていくことができるんですよね。

 

言わなくても分かってくれるなんて、幻想でしかないんです。

大切なことほど言葉にしないと、本当の意味で相手に伝わるなんてないんですよね。

 

サン=テグジュペリの「星の王子さま」の中に

「いちばん大切なものは、目に見えない」

という一節があります。

 

作中では「心で見ないとよく見えない」とあるのですが、残念ながら心で見るというのはなかなか難しいことなんです。

 

ですが目に見えないものだったとしても、言葉で表現することはできるんですよね。

言葉は形のないものを相手に伝えることができる、もっとも簡単で便利なものなんです。

 

その言葉はあなたも持っているんです。

使わない手はないですよね。

 

 

 

大切な想いという形のないものだからこそ、言葉で伝えてあげてくださいね。