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マルチタスクの落とし穴

 

仕事が忙しくなると、同時進行で色々な作業に取り組まなければなりません。

ですがそういったマルチタスクをしても、ただ疲れるだけで、効率があがるわけではありません。

 

人間の脳の性質上、マルチタスクをすると効率は悪くなり疲労も溜まりやすくなることが分かっています。

 

今回はマルチタスクの落とし穴についてお伝えしたいと思います。

 

 

なぜマルチタスクしたくなるのか?

 

一般的な理由として多くの人に当てはまるのが

「時間を節約して、生産性をあげるため」

というものがあるのではないでしょうか。

 

気ぜわしく動いていると「仕事をした気」になれるというのも、理由としてあるかもしれません。

 

ですが本当の理由はこういったことではないのです。

それは「マルチタスクをしてしまうのが、脳の性質だから」というもの。

脳は基本的にマルチタスクをしてしまうクセを持っているのです。

 

ここで注意が必要なのは、クセを持っているからといって、その能力を持っているわけではないということ。

 

たとえば、ついアドバイスをしてしまうクセを持っていても、アドバイスの質が低い人って多かったりしますよね。

それと同じで、脳はマルチタスクをするクセを持っているのですが、マルチタスクを適切に行える能力は持っていないのです。

 

ではなぜ、そんなクセをもっているかというと、人間の脳は「新しいこと」に強い関心を持つようにできているんです。

人が新しいものに触れたとき、脳内では幸せホルモンと呼ばれる「ドーパミン」が分泌されます。

そのため常に新しいものを求めるようになってしまっているんです。

 

だからこそ「シングルタスクにする」意識を持つ必要がでてくるわけです。

そのためにいは「やっぱりシングルタスクにしたほうがいいよな」と思えることを知ることが重要となるので、まずはマルチタスクの弊害についてお伝えしたいと思います。

 

 

マルチタスクの弊害

 

弊害の一部をまとめると

 

・タスク完了に50%の余計な時間がかかる

・ミスをする確率が50%高くなる

・集中するまでに時間がかかる。

・意識散漫になるとIQが一時的に15ポイント下がる

・長期記憶の機能が低下する

 

となります。

 

 

これに加えて、いま集中しているものから次の対象に意識を向けるために脳は

 

①これまでの思考を止める

②対象を探す

③対象に意識を向ける

④対象に集中する

 

といった手順を踏むことになり、脳への負荷を高めることになってしまいます。

 

脳の負荷が高まれば高まるほど、脳はすぐに疲れてしまい、仕事の後半になればなるほど、考えることができなくなってしまいます。

そうなれば、集中力も途切れがちになり、つまらないミスを誘発することになるんですね。

 

また、一度切れた集中を取り戻すのには、平均で23分かかるという研究結果もでています。

その間はミスが起きやすい「魔が差す時間」となってしまい、結果的に自分が損することになってしまうのです。

 

それだけでなく、一時的に頭が馬鹿になってしまうため、アウトプットの質も悪くなってしまいます。

すると仕事の質にバラつきが生まれてしまい、良い評価を得ることも難しくなってしまいます。

 

これだけならまだいいのですが、歩きスマホなど移動しながら他のことに気を取られてしまうと、事故に遭う確率が一気に高まります。

交通事故で言えば、運転中のスマホ操作によって死亡事故の発生率が4倍になるという、警察庁からの発表もあります。

 

その他にも接触事故で言えば、歩きスマホをすることで1.9倍も危険率が高まるといった結果もでています。

 

マルチタスクは最悪の場合、自分の命の危機にもつながってしまうのです。

 

 

マルチタスクを撲滅するために

 

いかがですか?

少しはマルチタスクはやらないほうがいいなと、思えてきたのではないでしょうか?

命が危険にさらされるわけですから、やらないほうがいいですよね。

 

ここからはマルチタスクを撲滅するための方法をお伝えしたいと思います。

 

 

・タスクに取りかかる前に準備をする

実際にタスクに取り組むときというのは、身体を動かしますよね。

いきなり身体を動かそうとするのではなく、まずは頭の中を整理していきます。

このタスクを行うために「必要な情報」・「必要な道具」・「必要な手助け」は何かを考えます。

それだけでなく、タスク完了の状態はなにかも明確にしましょう。

ゴールが曖昧だと集中力は生まれないので注意してください。

 

 

・気が散りそうなものを排除する

脳は新しいものに目がありません。

新しいものは「刺激」と言い換えることができます。

つまり、目の前のタスクから意識が奪われないために、刺激が生まれそうなものを排除することが大切になります。

 

たとえば、携帯電話の電源を切っておくのはとても効果的です。

パソコンのメール受信通知も切ってしまいましょう。

あなたが個室で仕事をしているのなら「○○時までノック・入室禁止」というプレートをかけておくのも有効です。

 

気が散るものを予め排除してから、作業に取り組むようにしましょう。

 

 

・「集中タイム」を設ける

常識的に考えて、同僚や上司、部下から、なにかしらの問い合わせや仕事の依頼を止めることはできません。

ですがその度に集中が途切れてしまっては、結局マルチタスクしているのと同じです。

なので、一日のうちにほんの30分でもいいので、この時間は集中させてくださいと、周知してしまうのです。

そうすることで、配慮してもらえる確率を高めることができます。

 

 

・時間を区切って仕事をする

目の前に仕事があると、どうしても最後までやり切りたいと思うものです。

ですが時間が長くなればなるほど、集中力はどんどん低下してしまいます。

なので進捗で仕事を区切るのではなく、取り組む時間で仕事を区切るようにしてみましょう。

 

ある時間はこのタスクだけに集中するといったように、スケジュールを確保してしまうのです。

そうすることで、細々としたタスクを間に挟み込むこともなくなるので、集中力が維持されやすくなります。

 

そこでオススメなのが50分間集中して、10分休むというもの。

これを1セットとして、仕事の分量に合わせて枠を取るようにするんですね。

そうすることで、集中と休憩を適度に行えるので、高いパフォーマンス状態を維持しやすくなります。

区切る時間は人それぞれでしっくりくる時間があると思いますので、50分が合わないのなら色々試してみてくださいね。

 

 

 

ということで、マルチタスクの落とし穴についてお伝えしました。

人の脳は構造的に並列処理ができません。

だからこそマルチタスクではなくシングルタスクに集中するほうが、結果的に効率があがるんですね。

 

マルチタスクは脳への負荷が高くなります。

疲れ・ストレス・不眠など、健康上のデメリットも多いので、シングルタスクにするように意識してみてくださいね。

 

健康と効率のためにも、ご参考にしていただければ幸いです。