事前に立てた計画がうまく進まなかったとき
任された仕事でミスをしてしまったとき
自分が作った資料にダメ出しを受けたとき
このようなことがあると、気持ちが落ち込んでしまいますよね。
人によっては落ち込みが、数日続いてしまうこともあります。
このような状態になってしまったとき、多くの人に共通することが「自分の能力を疑う」という症状です。
「うまくいかないのは、自分が未熟だから」
そう考えることで、奮起することができればいいのですが、残念なことに、自分をさらに傷つけることになります。
このような負のループから抜け出すための、ちょっとした頭の使い方をご紹介します。
なぜ負のループにはまるのか?
ここからは、負のループにはまってしまう原因について3つお伝えします。
① ネガティブな出来事への過剰な注意
私たちの脳は、ポジティブな出来事よりも、ネガティブな出来事をより強く記憶する傾向があります。
これは、生存本能が働くためで、過去の失敗から学び、同じ過ちを繰り返さないようにするためです。
もしも失敗したことを忘れてしまったのなら、同じ失敗を繰り返してしまいます。
現代ではそれで命を落とすことはほとんどありませんが、大昔は一つのミスが命取りになっていました。
そのため命を危険にさらさないためにも、成功したことよりも失敗したことに注目するようになっているのです。
結果的に失敗経験ばかりが目立つようになり、自己評価を下げることになるのです。
② 認知バイアス
私たちは様々な認知バイアスを持っています。
認知バイアスというのは、考え方のクセのようなものです。
「こういうことが起きたときは、こう考える」
といった自動プログラムを持っています。
負のループにはまりやすい人は失敗が起きたとき、これまでも自分を責めてきたことで、自分を責めることを自動的に選択してしまいます。
そのため、失敗の他の原因があるかもしれないのに
「失敗したのは、自分の能力不足のせい」
と決めつけてしまうのです。
本当は自分以外の要因があるかもしれないのに、それを無視してしまうんですね。
その結果、自分が悪いという囚われから抜け出すことができなくなってしまいます。
③ 他者との比較
ものごとがうまくいかないとき、順調に進んでいる人と比べる傾向が強いと、負のループにはまりやすくなります。
失敗と成功というわかりやすい対比があることで、自分の不出来さがより際だってしまいます。
あの人はうまくいくのに私はうまくいかないとなると、失敗の要因を属人化してしまうことは自然の流れと言えます。
あまりに自然なため、その判断を疑うことすらせずに信じてしまい、ますます自分を傷つけることになってしまいます。
問題を自分の外に出す
失敗やトラブルに直面したとき、それを自分自身の問題として内在化することがよくあります。
もちろん「自分の責任」として向き合うことで、次になにができるかを見つけ出すことができます。
そういった意味で問題を内在化するのであれば、効果的な方法と言えます。
ですが問題を内在化させたとき、次の一手を考えるより前に、自己批判を進める場合があります。
そうなると解決策を考える前に自分が傷つき、自信が失われ、解決する力を奪われてしまいます。
それでは問題は消えず、ストレスが増え、気持ち良く過ごすことはできません。
そこでこの悪循環から抜け出すために「問題を自分の外に出す」ことが有効なんです。
これは問題を客観的に捉えることで、自分と問題を切り離して、冷静に対処するための方法です。
たとえば、自分がミスをしてしまった場合、そのミスを「自分の能力不足」としてではなく、「状況や環境が原因で起きたもの」と捉えてみるのです。
これは責任逃れをするためのものではなく、問題を冷静に分析し、改善の余地を見つけるための視点といえます。
このように問題を外に置くことで、感情的な負担を軽減することができます。
気持ちが軽くなることで、解決策が見つけやすくなるんですね。
このアプローチを習慣化すれば、自尊心が傷つくことなく、前向きな姿勢で問題に向き合えるようになります。
問題の外在化のコツ
問題を自分の外に出すためのステップをご紹介します。
① 一旦、感情をわきに置く
感情に囚われてしまうと、冷静に物事に向き合うことができません。
気持ちを落ち着かせることが大切になります。
というのも、感情が乱されると「どうしよう」といったように、うろたえるだけになってしまいます。
気持ちを落ち着かせるには、目を閉じてゆっくり呼吸をすること。
そして起きたことを考えるのではなく、呼吸にだけ意識を集中させるようにします。
これで簡単な瞑想状態を作りだし、気持ちを落ち着かせることができます。
② 「なんで?」より「なにが?」
ミスが起きてしまうと人は当たり前のように、原因を探そうとし始めます。
ですがそういった場合は、視野が狭くなっていることが多く、ミスの一部に対する原因だけを探ることになります。
原因を探し出す前にまずは、実際に何が起きたのかを把握することに向き合います。
このとき頭の中で考えるのではなく、紙に書き出しながら状況を整理するとより効果的です。
③ 足りないものを探す
ミスが起きてしまったのは、その流れの中で何かが不足していたからミスが生まれたと考えます。
例えば、「確認が足りなかった」となった場合、「自分の気が緩んでいた」と自分に帰属させてはいけません。
この場合だと、「確認のルールがなかった」と考えるようにします。
また「ルールがあったけど守られていなかった」のであれば、「ルールを守らせる仕組みがなかった」と変換することができます。
ルールを守らなかった場合、次の行程に進めないような「仕組み」があれば、ルールは必ず守られます。
それでも不正を働いてルールを無視していたのなら、「不正防止の対策がなかった」といったように「人の能力」以外の足りないものを探し出します。
このように問題を外在化することで、自己批判から解放されて、より建設的な解決策を見つけられるようになるんです。
失敗をしてもあなたの価値は下がらない
失敗をしたとたんに、「だから私はだめなんだ」と、自分を否定してしまう人は多いです。
ですが、失敗をしたからといって本当にあなたの価値は下がったのでしょうか?
失敗とは、想定していた結果と違う結果が生じたことを言います。
極端な話しにはなりますが、100万円分の受注を想定していた場合、50万円分の受注しかなければ失敗ですし、逆に150万円分の受注があっても失敗と言えます。
ようは「結果のずれ」でしかないのに、そこに「人の価値」がはいる余地なんて存在しないのです。
さらに言えば、失敗を経験したことで「何をするとうまくいかないのか」という学びを得ることができています。
それは次に失敗しない確率を高める知識となるので、逆に価値が上がっているんですね。
失敗しても価値が下がるどころか、上がってしまうのです。
そう考えると、必要以上に自分を責める必要なんてないと思いませんか?
このように失敗からなぜ「負のループ」に入ってしまうのかを理解し、それをどのように防ぐかを知ること。
そして、失敗の本質を理解していただいたのであれば、自分を責める必要がないことに気付けるのではないでしょうか。
問題を自分に帰属させるのではなく、外に置く。
それくらいがちょうどいいんですね。
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