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気付く人だけがイライラすること

 

あなたにも心当たりがあるかもしれません。

気がついた人がやればいいことだけど、気がつくのがいつも自分という小さな仕事。

小さいこととは分かっているものの、一度、気付いてしまうと、妙に気になってイライラしてしまうことって、ないですか?

 

例えば

・上司が書類を出しっぱなしにしている

・かかってきた電話を取らない後輩

・裏返しのままの靴下

・いつまでも放置される飲みかけのペットボトル

 

このてのことってなぜか、本人は気にしていないのに、それをみた自分が気になってしまって、自分だけがイライラしてしまいますよね。

それを同僚や友達につい愚痴ってしまったり。

 

おそらく世界中で起きていることと思います。

 

今回はこの、小さいけどイライラすることの処方箋をご紹介したいと思います。

 

 

なぜイライラするのか?

 

まずはなぜこのようなことがあると、イライラしてしまうのかでしょうか。

そこから紐解いていきましょう。

 

例えば、洗濯するのがあなたの役割だったとします。

そのときパートナーが靴下を裏返したまま脱ぐので、いつも裏表を戻さなければなりません。

ほんのちょっとの作業ですが、こういった地味な作業があると干したり、引き出しに戻すときに余計な手間が掛かってしまいます。

なんでいつも靴下を裏返しにするんだと、パートナーの行動が理解できずにイライラしてしまったとします。

 

このイライラの正体は、自分が期待する理想の行動をとってくれないことへの失望なんです。

なので裏返しの靴下を見るたびに、イライラが生まれてしまうんです。

 

ですがちょっとまってください。

もしもパートナーが靴下を裏返しにしなかったとしたなら、きっとイライラは起こらないと思います。

そして靴下を裏返すかどうかは、あなたがコントロールすることはできません。

ということは、靴下の脱ぎ方をどうするかは、どこまでいっても「パートナーの課題」なんです。

でも、自分は「パートナーの課題」を解決することができないので、イライラが止まらなくなってしまうんですね。

 

ここで大切になってくるのが

「その課題は誰のものなのか?」

を明確にすることなんです。

 

 

課題は誰のもの?

 

さきほどの裏返しの靴下のように、自分の課題でないことに対して人は感情を揺さぶられることが多いんですね。

これらの負の感情から抜け出すための方法として、アドラー心理学では「課題の分離」という考え方をとっています。

 

「課題の分離」とはその言葉のとおりで

「その課題は誰のものかを明確に線引きする」ということです。

そうすることで、ただイライラするだけでなく、どのような対応をすればよいかを考えることができるようになります。

 

ですが、相手の行動を自分がコントロールすることはできないとあったのに、対応を考えることなんてできるの?

そう思うかもしれません。

 

安心してください。

それができるんです。

 

その代表的な対応を3つご紹介します。

 

 

3つの対応策

 

①自分の役割を決める

靴下を元の状態に戻すことを期待するから、裏返しになっているのとみたときにイライラしてしまうんです。

ですが「裏返しになった靴下は自分が戻す」と決めてしまったなら、裏返しになった靴下を見てもイライラすることはなくなります。

 

このように自分の役割を明確に決めてしまったのなら、相手が動かなくても自分が動けばいいと思えるようになるんですね。

というのも近年になって「課題の分離」ではなく「課題の分担」という表現に変化してきているんです。

 

相手ができないのなら、フォローできる人間がしてあげればいいという考え方なんですね。

そう考えたほうが平和ですよね、ってことで、このような表現に変わりつつあるそうです。

 

 

②敢えて動かない

例えば、靴下が裏返しのままというのは、もしかしたら自分だけが気にしているのかもしれません。

それならいっそのこと、そのままにしてしまうんです。

もしも本人が靴下が裏返しのままが嫌だったのなら、そのときにはじめて、自分が裏返しにして脱いでいることに気付くかもしれません。

 

そうなんです。

こちらが気になるからといって手を出してしまうと、相手が持っている課題に気付かないままになってしまうんです。

すると相手は「靴下は裏返して脱いでもいい」という学習をしてしまって、裏返しの状態がさらに続くことになってしまうんですね。

つまり、こちらが手を動かすことで、相手にその行動をとってもいいという、メッセージを送っているのと同じなんですね。

 

それを敢えて止めてみることで、変化が生まれるかもしれません。

 

 

③その行動の理由を聞く

自分にとっては考えられない行動であっても、その人にとっては効果的な行動かもしれません。

ちょうど先日あったことなんですが、我が家では台所用のハサミを冷蔵庫横に引っかけているんですね。

妻がハサミを使った後は、必ず刃を開いたまま引っかけているんです。

そうなると次に使うときに危ないですよね。

 

これまではあまり気にしていなかったのですが、なんで刃を広げたまま引っかけるのか聞いてみると「刃を乾かすために広げてる」と返事がありました。

その理由を聞いて、なるほどと思い、僕も刃が濡れている場合は開いて引っかけるようにしようと思ったんです。

イライラしてしまうのは理由がわからないからでもあるので、理由を聞いてみるのも有効な対処法となります。

 

 

 

ということで

「気がついた人がやればいいことだけど、気がつくのがいつも同じ人という小さな仕事」

についての対処法をアドラー心理学の「課題の分離」という視点から紐解いてみました。

ご参考になれば幸いです。

 

ちなみに僕がよくするのは③です。

相手の価値観を尊重する意識を持っていると、これが一番やりやすいですよ^^