今回は人の思考がどのようなステップで流れていくかをお伝えしていこうとおもいます。
なのでちょっと堅苦しい内容になってしまいます。
とはいえ僕は、心理と論理の両輪がうまく回るからこそ、コミュニケーションの質は高くなると考えています。
なのでときには今回のような、堅苦しいこともお伝えしたほうがいいと考えました。
ただこの思考手順を知ってもらえれば、この世界がどのように動いているのかも理解できるようになりますし、これからどのような変化が起きていくのかも見えるようになります。
この記事に添付している画像がありますよね。これがいまからお伝えする思考の全てとなります。
この図を意識しながら読み進めてくださいね。
では本題に入っていきましょう!
具体・抽象・フロー・ストック
まずはそれぞれの用語の解説です。
具体というのは、そこまで詳しい説明は不要だと思います。
誰がみても、対象が「存在している」ことや「起こっている」ことを認識できる全てのことが具体となります。
なので具体的なものとは、目に見えたり、耳に聞こえたり、触れたりするようなものとなります。
ここではまだ、それらを表現する言葉がついていません。
ただ単純に実存として、そこに実際にあったり、起きたりしているだけです。
次に抽象ですが、少しイメージしにくいと思いますが、「具体的な事象や現象から共通の性質を取り出し、それを概念や言語で表現すること」と定義することができます。
これは動物にはなく(動物にも具体を理解するための思考があるかもしれませんが、コミュニケーションで確認することができないので便宜的にこうしています)、人間のみが持つ情報空間のなかに広がる概念となります。
なかなか説明が難しいですね^^;
フローというのは、動的な状態のことをいいます。
この動的というのは、思考状態のことを言います。というのも抽象概念というのは、人間のみがもつ情報空間ですから、考えることそのものがフローと言えるのです。
ありのままの具体をみたときにそれを理解するために脳は、「これって、こういうものかな?」「いや、もしかするとこうかもしれない」「いやこっちのほうが適切かも?」みたいに、絶えず動き続けています。
このように混沌のなかにあり、定まりきっていない状態のことをフローと呼びます。
ちなみにですがこの世界の中で、完全に停止しているものは存在していません。
ぱっと見た限りでは、全く変化のないものであったとしても、時間というなかを動いているといえます。
もしも本当に停止しているのなら、時間の流れに乗って過去に連れ去られてしまうでしょう。
そんな現象が起きたとしたら、一瞬にして目の前から消えたように見えるかもしれませんね。
ストックといのは、静的な状態のことをいいます。
混沌のなかから、それらを整理するための法則が見つかった状態と言えます。
フローでは出来事や思考が絶えず動き続けているのですが、ストックの領域ではそれらの動きを切り取って、スナップショットとして取り上げるといったイメージとなります。
よく分からないものに対して「これはこういうものだ」と、迷いなく指し示すことができている状態とも言えます。
以上が、具体・抽象・フロー・ストックのおおまかな概念となります。
これを認識することがこの思考法において重要となるので、しっかりと覚えていただければと思います。
「1」の矢印
左下の領域は、ありのままの事象が起こっている領域です。
ここで起こることはランダムで混沌としていますが、実際に目の前に現れている現実世界となります。
もっと単純な言葉を使うと、これまでにない新しい出来事やモノがでてきている状態です。
この領域で起こることは、人間がまだ経験したことがないことなので、事象としてはあるのですがそれを表す言葉がまだない状態となります。
その事象が再現性のないことだったとき、人は「よくわからないこと」や「奇跡」「不思議なこと」としてしか受け止められません。
つまりその事象を説明することができないのです。
ですがこの領域で起こる事象が、色々な場所で繰り返し起こることを認識したとたんに、人思考は「1」の矢印を進んで左上の領域へと進みます。
例えば、風邪になって声がうまく出せないという息子から電話があり、仕事で大きな損失を出して補填しないと会社にいられなくなる、必ず返すからお金を貸して欲しい。しいては、会社の口座に入金して欲しいとお願いされた親が、子どものことを思い振り込んだとします。
親はすぐさま息子に連絡を入れると、そんな電話はしていないと言われ、そこではじめて自分が騙されたと知るわけですが、息子の声を間違えた恥ずかしさから表沙汰にしないかもしれません。
オレオレ詐欺が初めてこの世界に現れたときは、それが新手の詐欺というよりも、子どもの声を見極められなかった自分を責める人が続出していたそうです。
これはまだ左下の領域にあるために、たまたまのこととしてしか把握されておらず、これが新しい詐欺の手法だとまだ誰も認識していません。
ですがそういった事象が各地で頻発してきたときにようやく、何かとんでもないことが起こっていると気付き始めます。
これは一体何が起きているのだろう?
そう考え始める瞬間が、1の矢印を進むタイミングとなります。
「2」の矢印
ある事象が頻発し、なにかしらの法則性があるのではと思い始めたとき、その事象が一体何かを定義するために、あーでもない、こーでもないと考えている状態が左上の領域となります。
将来的にオレオレ詐欺(振り込め詐欺)と定義づけられる事象は、組織的なものなのか、それとも単独によるものなのか、怨恨によるものなのか、詐欺的なものなのか、それを考える領域となります。
出てきた事象の共通点などを精査しながら、その事象と「これはこのようなものだ」という概念を結びつける動きが生まれます。
そしてこの手の事件では電話を掛けてきたとき名乗らずに「オレオレ」と電話で言うことから、「オレオレ詐欺」として認識されることになります。
このように定義した時点で2の矢印を進み、右上の領域へと入ります。
「3」の矢印
右上での領域ではその事象がどのような法則・ルールによって起きているかを明らかにしていきます。
またある一定の法則が見つかるため、これまでよくわからなかったものだったものが、どのようにすればそれを出現させることができるかも分かるため、再現性が生まれるようになります。
そのときが3の矢印を進むタイミングとなります。
そして右下の領域にまでくると、この人にしかできないことではなく、法則やルールを活用すれば誰でもできる状態になっていきます。
そのため全国的に「オレオレ詐欺」が頻発するようになりました。
「4」の矢印
右下の領域では、法則・ルールが完成しているため、誰も彼もがその法則を活用して、利潤を得る人が増えていきます。
ある一定期間はその方法でうまくいくのですが、時間が進むほどに社会が変わっていき、その方法が役に立たなくなっていきます。
するとその方法以外のやり方でうまくいく方法はないかと、考え始めるようになります。
いままでは「オレオレ詐欺」だったのですが、登場人物が増えて、トラブル相手役や弁護士役、警察官役などがでてくるようになり、「オレオレ」を言わない特殊事例が出てくるようになります。
それはこれまでになかった新しい事象となり、4の矢印を進んで、左下の領域に入り、まだ名前のついてない事象としてこの世界に出現し始めるのです。
流転していく
このようなサイクルが回っていくことで、様々な新しいものが生まれ、それらが定義され、認知され、みんなに知れ渡り、そこに満足できない人がまた新しい何かを考え出していくわけです。
これは社会的にも個人の頭の中でも起こっていることといえます。
人間の脳は自分の外側にある事象を言葉で理解するようにできています。
その事象に言葉が付けられていない、つまり、明確な定義がないものだった場合、人間はそれを理解することができません。
なんだかよくわからないものとして処理されてしまうため、無視されたり見落とされたりするのです。
ですがそこでほんのちょっとだけ立ち止まって、1の矢印を進むようにしてみる、つまり、考えることをしてみることで、この世界のことをより明確に理解できるようになっていくのです。
また、ついやってしまいがちなことは、目の前のことはこれまでにない新しい事象にもかかわらず、右上の領域のなかにすでにある、過去に作られた法則やルールに当てはめようとすることです。
本来であれば、その事象をまずはありのまま受け止め1の矢印を進むべきところを、考えるのが面倒だからといって、すでにあるものと照らし合わせてしまうんです。
それが行きすぎると偏見となり、事象を歪めて理解することになる場合もあります。
大切なのは自分なりに考え続けることなんですね。
そうすることで、偏見に囚われずにこの世界を知ることができるようになるのです。
今回はちょっぴりマッチョな内容になりましたが、ときにはこういったことに目を向けるのも面白いかなと思いご紹介しました^^
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