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人に任せられない症候群

 

職場や家の仕事を人に任せることができない。

そんな人も多いかもしれません。

でもそのままだと、自分の負担ばかりが増えてしまって苦しくなるばかりです。

 

人に何かを任せることもまた、より良い人間関係を作るためには大切なことなんですよね。

というのも、初めて仕事を任されたとき、不安と同時にやっと認めて貰えたといった気持ちがあったのではないでしょうか。

だからこそ任せてくれた人の顔に泥を塗らないためにも、頑張ろうと思えたりしたこともあると思います。

そういった「想い」が関係性を強くしていくんですね。

 

今回は、人に任せることができない人に、何が起きているのかについてお伝えしたいと思います。

そのうえで任せるための心構えについてもご紹介していきますね。

 

 

任せられる人がいない

 

人に任せることのメリットを伝えたとき、管理職界隈の人は

「それは周りが優秀だからできるんですよ。ウチのメンバーは…」

と、部下の能力の低さを嘆く人がそれなりの数でいらっしゃるんですね。

 

僕は実際にその人の部下の仕事ぶりをみているわけではないので

「そんなことないはずですよ」

とは言えず、能力が無いと感じてしまうなにかがあるんだろうなと考えるしかできません。

ですがこれって、その人自身の行動で、部下が育っていない可能性があるんです。

 

仕事を任せられるようになるためには、まずは任せるしかないんですね。

「いやいや、任せられないのに任せるなんて、そんなのリスクしかない」と感じるかもしれません。

そこで考えてみて欲しいんです。

 

あなたは生まれて初めて自転車に乗ったとき、一度もこけることなく自転車に乗ることができましたか?

たぐいまれな運動センスを持っていたのなら、可能かもしれませんが、ほとんどの人はなんども転びながら、自転車に乗れるようになったとおもいます。

 

そうなんですよね。

部下が任せられるほどの能力を持っていないのは、その仕事をやらせていないからなんです。

はじめはうまくいかずに失敗することもあるかもしれません。でもそういった経験がなければ、仕事を覚えることなんて不可能なんです。

 

仕事を任せてハラハラドキドキするのは最初の数回だけなんです。

一度でも経験してしまえば、それなりに要領を習得してくれます。あとは繰り返すことで、その正確さはより磨かれていくんです。

その最初のハードルさえ越えてしまえば、後は安心して任せられるようになるんですね。

 

なので任せられる人がいないのは、自分が任せていないからというのが大きな原因なんです。

思い切って任せてしまわないと、いつまでたっても仕事が自分から離れていかないんですね。

 

なので心構えとしては、部下の力を信じて、多少の失敗は成長のためには必要なこととして織り込み済みにしてしまうことなんです。

そして大失敗にならないようにだけ見守ること。

 

そういった心構えができれば、仕事を任せされるようになっていきますよ。

 

 

それでも心配だから…

 

とは言っても本当にうまくできるかわからない。

どう見ても、まだまだ不十分なところがある。

そんな理由から、任せることができないと、感じてしまうこともあるとおもいます。

それはもしかしたら、部下を今の自分と比較して、能力が足らないと思い込んでいるのかもしれません。

 

管理職になっている人は、なんだかんだで仕事ができる人なんです。

しかも様々な経験をしているので、スキルも磨かれています。

仕事を任せようとしたとき、自分がしたときと同じレベルのものを無意識で求めてしまっているのかもしれません。

そのため部下の仕事が劣っているようにみえてしまって、任せられないと感じてしまうんです。

 

もちろん100点満点のアウトプットができれば最高ですが、そもそも本当に100点満点のアウトプットである必要があるのでしょうか?

70点でも十分に満足できるのであれば、残りの30点は自分のこだわりだかもしれません。

 

それでも100点満点を求めるのなら、自分と同じ時間をかけないと到達できないと思ってください。

それを「今の」部下に求めるというのは「求めすぎ」かもしれませんよ。

 

 

管理職の仕事

 

正直なところ、管理職というのは本当に大変なポジションなんです。

仕事の成果も求められるし、部下の育成も求められる。経営層からの指示を部下が理解できるように翻訳する必要もあります。

その上で重い責任を背負うことになるので、これ以上、失敗なんかをされてよけいなリカバリーの時間なんて作りたくない。

そう考えるのも無理からぬことだとおもいます。

だから「自分がやったほうが確実だし早いし安全」と考えてしまうのも当然ですよね。

 

そんなときは、いま目の前にある仕事だけを見るのではなく、チーム全体の将来にも目を向けてみて欲しいのです。

 

たとえば、営業部の成約件数でみてみたとき、管理職は能力が高いので、10件の契約が取れるとします。

でも10人いる部下は能力がそれほど高くないので、それぞれ1件しか取れないと仮定すると

 

10件(管理職)+10(メンバーの数)✕1件=20件>

 

となります。

そこでもしも、管理職が営業に使う時間を半分削って、部下育成に力を入れたとき、管理職の件数が半分になったとしても、部下が全員2件の契約が取れたとしたらこうなります。

 

5件+102件=25件>

 

もちろんここまではっきりと数字に表れるかどうかはわかりません。

中には1件止まりの部下もいるでしょう。でもその逆に3件以上の契約をとる部下も出てくるかもしれません。

このようにチーム全体の力を底上げしたほうが、効率は高くなるんですね。

1件止まりの部下がいたとしても、徹底したフォローさえ怠らなければ、時間は掛かっても伸びていくんです。

 

 

 

今回は仕事を任せることについてご紹介しました。

「任せる」と「フォロー」を徹底することで、上司と部下の信頼関係が育まれ、チーム全体の雰囲気も良くなっていくんですね。

 

これも一つの、人間関係の育み方なんです。

部下が自分の成長を実感できれば、部下自身の自尊心も高まっていきます。

ポジティブな雰囲気がチーム全体に広がっていくようになるんですね。

 

そういった空気をつくるのが「仕事を任せる」ということでもあるんです。