
「私にはそんなこと無理」「どうせ頑張っても変わらない」
そんなふうに感じたこと、ありませんか?
何かに挑戦しようとしたとき、あるいは今の状況から抜け出したいと思ったときに、ふと頭をよぎる「限界」の感覚。
それは時に、私たちの行動を止めてしまう強いブレーキになります。
でも実は、その“限界”は本当の限界ではなく、自分の中で無意識に設定してしまっている「思い込み」に過ぎないことも多いのです。
では、なぜ私たちは限界を感じてしまうのでしょうか?
その背後にはどんな心理や思考のクセがあるのでしょうか?
そして、そこから抜け出すためにできることとは?
今回の内容はきっと役に立つと思うので、最後までぜひ読んでくださいね。
ではさっそく、詳しくみていきましょう。
「限界」はどこからくるのか?
まず考えてみたいのは、「限界」を感じるとき、私たちは何に基づいてそれを判断しているのかということです。
たとえば、
「自分には才能がないから」
「年齢的にもう遅いから」
「これまで失敗ばかりだったから」
こうした思考の背景には、過去の経験や周囲からの評価、社会的な常識が影響しているんですね。
心理学ではこれを「自己効力感(self-efficacy)」といいます。
これは、簡単に言うと「自分はこの行動を遂行できる」という自信のこと。
アルバート・バンデューラという心理学者が提唱した概念で、自己効力感が高い人ほど困難なことにもチャレンジし、低い人ほど避けてしまう傾向があるといわれています。
そして面白いのは「自己効力感」の高さを担保する証拠は必要ないということ。
「いまはできないけど、これから勉強したり練習したりすればできるようになる」と、未来の自分を信じられるかどうかで決まるんです。
つまり、「限界だ」と感じるのは、その状況での自分の能力を信じられないときなんですね。
限界というより、「これ以上は自分には無理かもしれない」という思考の壁なのです。
過去の記憶が「限界」をつくる
では、なぜそのような思考の壁が生まれてしまうのでしょうか?
それは多くの場合、過去の失敗や否定的な体験に由来しています。
たとえば、小さい頃に先生や親に「あなたには無理よ」と言われたことがずっと記憶に残っていたり、挑戦して失敗したときに強く傷ついた記憶が「もう二度とやりたくない」という気持ちを生み出していたりします。
脳は「危険から身を守る」ためにネガティブな記憶を優先して覚える性質があります。
これを「ネガティビティ・バイアス」といいます。
この働きによって、私たちは新たなチャレンジよりも「失敗しないこと」を優先してしまうんですね。
でも、ここで気づいてほしいのは、それが今ここにある「現実」ではなく「過去の記憶」に基づいた反応だということです。
「できるかどうか」ではない
ここで少し視点を変えてみましょう。
「できるかどうか」ではなく、「やってみるかどうか」という問いを立てると、ずいぶん気持ちが楽になりませんか?
行動科学では、「小さな成功体験」が自己効力感を育てると言われています。
つまり、「限界」を越えるためには、まずほんの小さな一歩を踏み出すことがカギになるんですね。
たとえば、人前で話すのが苦手な人が、いきなり大勢の前でプレゼンをするのはハードルが高いかもしれません。
でも、まずは少人数のミーティングで一言だけ発言してみる、という小さなチャレンジなら、やってみようと思えるかもしれませんよね。
その小さな成功が、「あ、意外とできたかも」という実感につながり、少しずつ「限界」の枠が広がっていくんです。
「限界」を取り払うマインドセット
マインドセット(心の持ち方)を変えることも、限界を超える助けになります。
スタンフォード大学の心理学者キャロル・ドゥエックが提唱する「成長マインドセット」という考え方があります。
これは、「能力は固定されたものではなく、努力や経験によって伸ばせるものだ」という前提に立った考え方です。
逆に、「自分はこれ以上変われない」「才能がないから無理」という考え方は「固定マインドセット」と呼ばれます。
この違いが、チャレンジへの姿勢に大きな影響を与えるんですね。
成長マインドセットを持つ人は、失敗を「成長の途中」と捉え、学びの機会として受け止めます。
だからこそ、限界を自分で決めつけることなく、可能性を広げていけるのです。
なんだか難しいように思うかもしれませんが、こういったことって実は全員が経験済みなんです。
例えば「自転車に乗る」
大人になれば物理の法則などで、スピードを出すことで安定することを経験則で理解できるのですが、子どものときは「なんで支えもないのに倒れないの?」と不思議に思ったはずです。
でもみんなが乗れているので「きっと自分にも乗れるはず」と考え、がむしゃらに何度も倒れながらも立ち上がって練習したはずです。
これこそが「成長マインドセット」なんですね。
自分にかける「ことば」が人生を変える
最後にもう一つ、大切なことをお伝えしたいと思います。
それは、「自分にかける言葉」の力です。
「どうせ私なんて」
「やっぱり無理だ」
そんなふうに自分に話しかけていませんか?
それらは、まるで呪いのように自分を縛ってしまいます。
でも逆に
「きっと大丈夫」
「少しずつ進めばいい」
といった言葉は、自分への優しいエールになります。
心理学ではこれを「セルフトーク」と呼び、自分に語りかける言葉が感情や行動に大きく影響するとされています。
だからこそ、まずは自分にかける言葉を少しずつ変えていくことから始めてみてください。
「限界」とは、実は外側にあるものではなく、私たちの内面にある「思い込み」や「記憶」によってつくられた枠なのかもしれません。
もちろん、誰にでも不安や恐れはあります。
でも、その感情に飲み込まれるのではなく、「本当にそれは限界なのか?」と問いかけてみることで、少しずつ視野が広がっていきます。
そして、自分を信じて小さな一歩を踏み出すこと。
その積み重ねが、いつの間にか大きな変化を生み出していくんですね。
あなたが感じている「限界」も、もしかしたらまだ動かせる壁かもしれません。
ゆっくりでも、焦らずに、自分らしい歩幅で越えていけますように。
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