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最後のセミ

 

暑い日がまだまだ続きますよね。

最近では夜に散歩しているのですが、日が沈んでも暑さは変わらずで、ハンカチ片手に近所を歩いています。

 

もちろん日中も外にでますが、セミの声がすっかりしなくなりました。

僕が住んでいる街では、今年は例年に比べてセミの声が少なかったような気がします。

あなたの街ではどうだったでしょうか?

 

今回はセミの声の話ではなく、セミの中にはシーズンの一番最後に羽化するセミがいるはずです。

でも最後の一匹になってしまったら、その声は力強く、魅力的であったとしても、すでに仲間がいなくなった時期では、その努力が実を結ぶことはありません。

 

これって人間社会にも当てはまるのではと思ったんですね。

ということで今回は、タイミングを逃すことのデメリットと、行動を起こすためのヒントについてお伝えしたいと思います。

 

 

セミの声に込められた教訓

 

セミが羽化したあとは、わずか数週間しかありません。

長い年月を土の中で過ごして、地上に出てからは「鳴く」ことに全エネルギーを注ぎます。

 

彼らにとって鳴き声は、命をつなぐための唯一の方法です。

ですが、羽化のタイミングが遅れてしまえば、その声はどれほど大きくても空に虚しく響くだけで、待ち望むメスには届きません。

 

こういったことは、人間社会の中でもよく見られます。

たとえば、新しい商品やサービスを考えたとします。

アイデア自体は革新的で、人々の役に立つ可能性がある。それでも、発表する時期を逃してしまえば、すでに市場には同じような商品があふれ、誰も注目してくれないかもしれません。あるいは、告白のタイミングを先延ばしにしているうちに、相手に新しいパートナーができてしまうことだってありますよね。

 

つまり、行動の価値は「内容そのもの」だけではなく、「タイミング」と深く結びついているのです。

心理学の分野でも「カイロス(好機)」という考え方があります。これは、クロノス(時計が刻む時間)とは異なり、「今しかないチャンスの時間」を指す概念なんですね。

そして人は往々にして、このカイロスを逃してしまいがちです。

 

ではなぜ私たちは、タイミングを逸してしまうのでしょうか?

 

 

人がタイミングを逃す心理

 

「やらなきゃ」と分かっていても、つい先延ばしにしてしまう。

これにはいくつかの心理的な背景があります。

 

一つは「不安回避」です。

行動を起こすことで失敗するかもしれない、批判されるかもしれない。

そんな気持ちを抱いてしまうと行動することが怖くなってしまいます。

結果として「今はまだ準備不足だから」と自分に言い訳をしてしまうのです。

 

もう一つは「完璧主義」です。

心理学者フロイトの弟子であったアドラーも、人は「劣等感」を避けるために理想を高く掲げると言っています。

完璧に準備してから動こうとするあまり、いつまでもスタートできず、気づけばタイミングを失ってしまうんですね。

 

さらに、脳の仕組みによる要因もあります。

脳は本来「変化」を嫌う性質を持ちます。これは進化の過程で身についた安全装置のようなもので、未知の行動はリスクとみなして、先延ばしによって現状維持を選んでしまうのです。

 

 

先延ばしの損失

 

タイミングを逃すことの最大の問題は、「取り戻せない損失」が生まれてしまうことです。

 

これを経済学では「機会費用」と呼んで、ある行動を選ばなかったことで得られたはずの利益を失うという考え方です。

 

たとえば、新しいスキルを学びたいと思いながらも「また今度」と先延ばしにした場合、学んでいれば得られた仕事のチャンスや収入アップの可能性を失っていることになります。恋愛や人間関係でも同じです。想いを伝えないことで、本来築けたかもしれない関係性を永遠に失ってしまうかもしれません。

 

この「失われた可能性」は、目に見えないので意識できていないのですが、実際には驚くほど大きな損をしていることが多いんですね。

それだけでなく、その取り組みから得られた知識や経験といった、自分を成長させる要素を受け取ることもできません。

 

そうなると、次に同じようなことを考えついたとしても、同じように「自分には難しい」と感じて先延ばしを選ぶことになってしまいます。

これでは、いつまで経っても行動を起こせない自分のままになってしまいます。

 

では、どうすればこの悪循環を断ち切って、チャンスをつかむことができるのでしょうか。

 

 

小さな一歩でタイミングをつかむ

 

タイミングを逃さないためには、「完璧に準備が整ってから動く」のではなく、「不完全なまま動き出す」ことが大切です。

起業家のなかでは「走りながら作れ」といった言葉もあるように、準備が整うのを待っていると、いつまでたっても動けないんですね。

そこで行動しやすくなる3つの心構えをお伝えしたいと思います。

 

1. 期限を決める

「いつかやろう」では、永遠にその日は来ません。自分で小さな期限を設け、強制的に区切りをつけることで、行動に移す確率が高まります。

 

2. 未完成でも出す

文章を書くにしても、アイデアを共有するにしても、まずは「未完成の状態で人に見せる」ことを意識します。

外に出すことでフィードバックを得られるので、どうすればいいかが分かるようになります。

 

3. 誰かにシェアする

自分一人の中に抱えていると、先延ばしの言い訳が増えてしまいます。

誰かに「やる」と宣言することで、心理的な責任感が生まれ、行動を後押ししてくれます。

行動科学ではこれを「実行意図」と言われていて、具体的に「いつ・どこで・何をする」と決めることで、脳は自動的にその行動に備えるようになります。

 

大切なのは、「大きな飛躍」ではなく「小さな一歩」を積み重ねること。

その一歩が未来の自分を変えて、好機を逃さない力を育てていくんですね。

 

 

 

タイミングを逃してしまうと、「最後のセミ」になってしまうかもしれません。

人間は羽化などはしませんが、不安や完璧主義、現状維持バイアスによって、気付かないうちに自分から進んで「最後のセミ」になっているかもしれません。

 

ですが、そのことに意識を向けることで、行動を起こすことはできるようになります。

セミが大声で鳴くのは「今が大事だから、今できることに一生懸命になる」ことを知っているからかもしれません。

でもタイミングがずれてしまえば、その気持ちも空振りになってしまいます。

 

タイミングを逃さないことは怖いことかもしれませんが、それで得られるものはとても大きいので、軽やかに動けるようになりたいものですよね。

 

 

 

 

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