
「7月に日本で大災害が起こる」
少し前にそんな噂がネットやSNSを中心に広がっていたのを、覚えている方も多いかもしれません。
ですが、7月を過ぎた途端にその話題は、パタッと消えてしまいましたよね。
このように、真偽がはっきりしない情報であっても、多くの人の目に触れることで一気に広まり、まるで確かな出来事のように扱われることがあります。
そして、何度も耳にすると「本当かもしれない」と感じてしまうのも、人間として自然な心の働きなんです。
では、どうすれば不安をあおる噂や予言に振り回されずに、正しい情報と向き合っていけるのでしょうか。
今回は心理学の知見や、日常生活でできる工夫を交えながら考えていきたいと思います。
きっと役立つ内容になると思うので、最後までぜひ読んでみてくださいね。
不確かな情報に惑わされる理由
まずは、人が噂や不確かな情報に惹かれてしまう理由を心理学的に見てみましょう。
ひとつは「ネガティビティ・バイアス」と呼ばれる心の傾向です。
これは、人はポジティブな情報よりもネガティブな情報に強く反応してしまう、という性質を持っているというものです。
たとえば「今日は平和な一日だった」と聞くよりも、「明日地震が起きるらしい」と聞くとそっちの方が気になって仕方なくなる。
これは危険を回避するために備わった、生き残りのための本能的な仕組みなんですね。
さらに「バンドワゴン効果」も働きます。
これは「多くの人が信じていると、自分も信じやすくなる」という心理です。
周囲で「本当に起きるかもしれない」と話していると、自分だけ疑っているのが間違っているような気がしてくるんです。
いわば「みんなが言っているからきっと正しい」という気持ちが生まれるんです。
もうひとつは「単純接触効果」。
同じ情報を何度も耳にすると、正しいと感じやすくなる、という現象です。
SNSで繰り返し同じ内容を見かけると「やっぱりそうなんだ」と思ってしまうのは、この効果が大きく影響しています。
こうした心理が重なると、不確かな情報でもあっという間に広まってしまって、私たちの心に入り込んでしまうんですね。
噂や予言が広がる背景
では、なぜ今の時代、とりわけ噂や予言が広まりやすいのでしょうか?
まず大きいのは、SNSやネットの拡散スピードです。
以前なら限られた範囲でしか伝わらなかった情報が、いまや一瞬で何万人もの目に届いてしまいます。
しかも「シェアする」こと自体が簡単なので、深く考えずに広めてしまいやすいんです。
さらには、閲覧数や再生数稼ぎのために、こうした情報をより過激にするため特大の尾ひれを付けてしまったりもします。
また、人には「不安を共有することで安心する」という心理もあります。
「こんなことが起きるらしいよ」と伝えることで、自分の不安を分かち合える。
ある意味、噂の拡散は“心のガス抜き”の役割を果たしているとも言えます。
さらに「未来に関わる不安」は特に広まりやすいとされています。
「もし本当だったらどうしよう」という思いが、人々の心を強く惹きつけてしまうんです。
未来のことは確認できないからこそ、余計に心が揺さぶられてしまうんですね。
情報を見極めるための心理的ヒント
とはいえ、私たちが完全に噂から逃れることは難しいですよね。
だからこそ「情報とどう向き合うか」が大切になってきます。
ひとつは、「これは事実?それとも推測?」と立ち止まる習慣をつけること。
ネット記事やSNSの投稿を見たとき、その内容が「実際に起きた出来事」なのか、それとも「こうなるかもしれない」という予測なのかを見極めるだけでも、受け取り方が変わります。
また、出典や一次情報を確認することも大切です。
誰が言っているのか、どの立場の人が発信しているのかを見極めるだけでも、情報の重みは大きく変わります。
そして何より大事なのは、「感情に揺さぶられたときこそ立ち止まる」こと。
強い不安や怒りを感じる情報は、冷静な判断力を奪います。
そんなときは「今は一旦、保留にしておこう」と心の中で区切りをつけるのも、適切な情報との向き合い方になるんですね。
正しい情報との向き合い方
ここからは、実際に日常でできる具体的な工夫を3つご紹介します。
① 信頼できる情報源を持つ
まずは「自分が信じられる情報源」をあらかじめ決めておくことです。
行政機関の公式発表や大学・研究機関、専門家のコメントなどを基準にすると安心です。
たとえば地震や災害の情報なら「気象庁の公式サイトを見る」と決めておく。
健康や医療なら「厚生労働省の発表を確認する」など、自分の中でルールを持っておくと、不安に駆られて検索に振り回されにくくなります。
ただ政府などのパブリックコメントもときには間違えることもあるので、専門家の意見を見て確認することは忘れないようにしてくださいね。
② 共有前に一呼吸置く
次に大切なのは「誰かに伝える前に一呼吸置く」ことです。
SNSでシェアしたり、家族や友人に伝える前に、「これは本当に信頼できる情報かな?」と自分に問いかけるだけでも違います。
不安や驚きといった感情のピークのときにシェアすると、冷静さを欠いてしまうものです。逆に、一晩置いてから見直すと「あれ、そんなに確かな話じゃなかったな」と気づけることもありますよ。
これは個人的に「夜に書いたラブレター現象」と名付けているのですが、盛り上がっている状態で情報を伝えようとすると、大袈裟になってしまったり、後悔することが多くなるんですね。
③ 「逆をとる」
そして最後のポイントが「逆をとる」です。
これはとても有効な方法となります。
「裏をとる」という言葉は、刑事ドラマなどで聞いたことがあると思います。
意味は、その情報の正しさを立証するための情報を集めるということですよね。
ですが、その根拠が同じ出所に基づいていたら、数を集めても実は意味がありません。
また「裏をとる」のは、自分が正しいと思っていることを補強する情報を集めるという特性上、「確証バイアス」が働いてしまって、違う情報を見えなくさせてしまう恐れもあります。
そこで意識したいのが「逆をとる」。つまり、あえて反対意見を探して、その根拠を確認することです。
たとえば「大災害が起こる」という噂があったときに、「そんな根拠はない」と主張する人の意見にも目を向けるようにします。
そこで示されているデータや専門家の見解を確認することで、どちらがより妥当かを比べることができます。
これは心理学でいう「反証思考」にあたり、自分の信じたい方向と逆の情報を見ることで偏りを和らげることができます。
慣れないうちはちょっと面倒に思えるかもしれませんが、慣れると「情報に振り回されない安心感」が育っていくはずです。
不確かな情報に引き込まれてしまうのは、人間として自然な反応です。
不安や恐怖に敏感なのは、生き残るための大切な仕組みですからね。
だからこそ大切なのは、「どう向き合うか」なんです。
信頼できる情報源を持ち、共有前に一呼吸置き、そして逆をとる。
この3つを意識するだけで、噂や予言に振り回されにくくなります。
情報があふれる今の時代なので、完全に不安をなくすことはできません。
でも「自分には選び方がある」と思えるだけで、気持ちはぐっと楽になります。
安心して日常を過ごすために、今日からできる一歩として取り入れてみてくださいね。

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