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嘘も方便

 

「嘘はついてはいけない」と、小さい頃から教えられてきた人は多いかもしれません。

でも実際のところ、大人になってみると、ふとした会話の中で、思わず嘘をついてしまった経験って、ありますよね。

「大丈夫」と言いながら本当はつらかったり、「気にしてないよ」と言いつつ、心の中ではモヤモヤしていたり。

 

そんなとき、「これでよかったのかな…」と自分に問いかけている自分がいるかもしれません。

 

今回は、「嘘をつくことのメリットとデメリット」について、心理学の視点も交えながら、整理していきたいと思います。

嘘とどう向き合えばいいのか、自分の気持ちに正直に生きるためのヒントも含めてお伝えしていきますので、最後まで読んでみてくださいね。

 

 

嘘をつく理由

 

なぜ、人は「正直に話さない」選択をするのでしょうか?

それには、複雑な心の動きや背景が関わっています。

 

まず、嘘は「自己防衛」の手段として働くことがあります。

批判を恐れたり、失敗を認めたくなかったり、恥をかきたくないという思いが働くと、その場をしのぐような を選びたくなることがあります。

 

また、「他者への配慮や思いやり」からくる嘘もあります。

相手の気持ちを傷つけたくない、場の空気を乱したくない、という思いから、「あなたのプレゼンはよかったよ」と言ったり、「元気だよ」と言ってしまったりします。

こうした“思いやりの嘘”は、相手との関係性を保つために、無意識に選ばれることもあります。

 

さらに、心理学的には「自己呈示(じこていじ)」という理論がヒントになります。

人は他者にどう見られたいかを意識しながら行動します。

本当の自分より良く見せたい、自分を守りたいという願いが、嘘の動機になることがあります。

 

 

嘘のメリット

 

嘘には、ネガティブな面ばかりではなく、ある種の“役割”を果たすこともあります。

 

まず、場を穏やかに保つための嘘。

たとえば、誰かが手料理を振る舞ってくれたときに「おいしいよ」と言うことが、その場の空気を壊さず、相手を傷つけずに済む例です。

こういう“社交辞令”や“お世辞”といった言葉は、人間関係の潤滑油となりますよね。

 

また、相手の自尊心を守るための嘘もあります。

たとえば、友だちが新しい髪型を披露してきたとき、もしあなたが本当はあまり好きでなかったとしても、「いい感じだね」と言うことで相手の気持ちを尊重することができます。

 

また、研究によれば「白い嘘(white lies)」がある意味で利他的な一面を持つことも示唆されています。

「相手を助けたい」「関係を守りたい」という動機から、真実を完全に語らないことが選ばれたりすることもあるんですね。

 

それでも注意が必要なのは、嘘に頼り過ぎないということです。

どの嘘が“許される範囲”かは、その場の関係性、強さ、信頼度、そして嘘の内容や頻度によって大きく変わります。

 

嘘はその場を切り抜けるにはとても便利な手段ですが、あまりに多用してしまうとリスクが高まるので注意は必要です。

 

 

嘘のデメリット

 

まず最悪のケースとして、嘘が明るみに出たとき。

信頼が一度崩れると、それを再構築するのは非常に困難と言えます。

人は「裏切られた」「騙された」と感じると、相手への警戒感が強まり、それ以降、信頼してくれることはほぼありません。

特に長期的な関係性(家族、恋人、仕事仲間など)での嘘は、決定的な亀裂を生むこともあります。

 

また、嘘をつくたびに、心の中にわだかまりや葛藤が残ることがあります。

「なぜ嘘をついてしまったのか」「本当はどう感じていたのか」というモヤモヤが、自己肯定感をじわじわと蝕むこともあります。

繰り返し嘘をつく→罪悪感やストレス→自己嫌悪、という悪循環が生まれる可能性もあります。

つまり、嘘は自分を傷付ける行為でもあるのです。

 

嘘が習慣化すると、自分自身との関係も乱れてきます。

本音と建前の乖離(かいり)が大きくなると、「私は本当はどう思っているんだろう?」と感覚がぼやけることがあります。

自分を偽ることがクセになると、自分を見失うことにもなるんですね。

 

心理学研究でも、嘘をよく使う人は、他者との信頼関係が低くなったり、生活満足度が低くなる傾向が見られたという報告があります。

 

なかでも苦しいのが、嘘をつなげていくうち、整合性を取るためにさらに別の嘘を重ねざるを得なくなることです。

一度嘘をついたがゆえに、次々に説明を用意しなければならないため、他人からも自分でも支離滅裂なことを言い続けるようになり、話せば話すほど追い込まれてしまいます。

 

 

嘘との付き合い方

 

他者との関係を保つためには、嘘をゼロにすることは現実的には難しいかもしれません。

でも、「どう嘘と付き合うか」を意識することで、より誠実さに近づくことは可能です。

 

まず大切なのは、どのような嘘なら許容範囲かを決めておくことです。

基本的に自分を守るための嘘は、使っても意味がありません。どこかのタイミングで嘘があばかれ窮地に立たされてしまいます。

そうではなく、相手を傷付けないためにどこまでなら「配慮」の範囲になるかを考えておくのです。

 

次に、「本音を伝える技術」を育てておくことも重要です。

すべてをズケズケ言えばいいわけではありませんが、アサーティブ・コミュニケーション(自己主張と他者尊重を両立させる伝え方)のような方法を知っておくことで、相手に配慮しながら本音を伝えられるようになります。

 

嘘で切り抜けると考えるのではなく、何を伝えて何を伝えないのかの線引きも有効です。

伝えないことは嘘をつくことにはなりません。

そのため自分を傷付けることもないですし、整合性を必死に保つ必要もありません。

沈黙は安全な方法でもあるんですね。

 

 

 

嘘にはたしかに、相手を守ったり、場を和ませたりする側面があります。

でもその一方で、自分の気持ちに嘘を重ねることが、少しずつ心の疲れやストレスとなって表れてくることもあるんですよね。

 

大切なのは、「嘘をつくことが悪い」かどうかよりも、「なぜその嘘を選んだのか」に気づくこと。

自分を守るためだったのか、相手を思いやるためだったのか。

そこにある感情や意図を丁寧に見つめ直すことで、自分らしく、そして誠実に生きるための軸が少しずつ育まれていきます。

 

嘘をゼロにすることはおそらく不可能なので、自分の他者も傷付けないような「嘘」を意識したいですね。

 

 

 

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