がんばっているのになかなか成果が出ない。
毎日忙しく動いているはずなのに、前に進めている実感がない。
そんな気持ちになること、誰にでもありますよね。
私たちはうまくいかない時ほど、もっとやらなきゃ、もっと努力しなきゃ、と自分にタスクを積み重ねてしまいがちです。
でも不思議なことに、成果を出している人たちは、必ずしも大量のタスクをこなしているわけではありません。
むしろ、やらないことを決めるのがとても上手なんです。
一見すると怠けているように見えるのですが、実は脳の仕組みや心理学にそった、合理的で再現性のある成功法則なんですね。
ということで今回は、成功する人がやらないことを決める理由や、選択の科学、集中の法則について分かりやすくお伝えしたいと思います。
選択肢が多いほど人は動けない
よく「なんで勉強をしなきゃいけないの?」といった、子どもからの素朴な疑問に
「将来の選択肢が増えるからだよ」
と答えることが多いと思います。
その答えから見えてくるのは、私たちは選択肢が多いほど自由で幸せになれる、といった考えを持っているのではないでしょうか。
ですが心理学の世界では、選択肢が増えれば増えるほど迷いが生まれ、行動が鈍くなり、満足度が下がることが分かっています。
これが選択のパラドックスと呼ばれる現象です。
アメリカのコロンビア大学のシーナ・アイエンガー教授が発表した「ジャムの法則」というものがあります。
実験内容はシンプルで、あるスーパーにはジャムを24種類置き、もうひとつのスーパーでは6種類しか置きませんでした。
試食の人数は24種類のジャムが置いてあるスーパーが多かったのですが、購入率では6種類のジャムが置いてあるスーパーの方が10倍高かったのです。
このことから「人は選択肢が多すぎると選ぶのが難しくなり選択そのものをやめることがある」ということが明らかになったのでした。
このことは「決定回避の法則」とも言われています。
選択肢が多いと脳が疲れる
脳の働きで見ると、意思決定の中心を担う前頭葉が、多数の選択肢にさらされることで膨大な比較検討をすることになります。
こうなると激しい情報処理が行われるため、脳はすぐにヘトヘトに疲れ果ててしまうんですね。
これを「選択疲れ」と呼んで、脳のパフォーマンスが落ちる原因なんです。
仕事でも家でも、メール、メッセージ、SNS、ニュース、やるべきタスク……私たちは一日中、細かな選択をし続けていますよね。
その結果、
何から手をつければいいのか分からない
大事な作業ほど後回しになる
時間だけが過ぎていき焦りが生まれる
そんな状態になってしまうわけです。
これは決して、あなたの意志が弱いからではありません。
脳が疲れているだけなんです。
だからこそ成功している人は、やらないことを決めて選択肢をあらかじめ減らしているんですね。
そうすることで考える必要がなくなるので、脳のリソースを消費しません。
スティーブ・ジョブズが毎日同じ黒のタートルネックを着ていたのも、決断の数を減らすことで大事な判断に集中するためでした。
私たちの日常でも、初めからやらないと決めておけば、脳が散らかってしまうのを防ぐことができます。
やらないことを決めるというのは、自分のエネルギーを守り、大切なことに集中するための、理にかなった戦略なんですね。
集中の法則とは何か
次に、成功法則の中でもとても重要な概念である「集中の法則」について見ていきましょう。
集中の法則とは、エネルギーを一点に集めたほうが成果が最大化される、というシンプルな考え方です。
昼間に黒い紙を日に当てていても燃えることはありませんが、虫メガネで太陽光を集めると、とたんに燃え始めます。
これとまったく同じことが、脳にも起きているんです。
脳科学の観点から見ると、人間は本質的にマルチタスクができません。
実は複数の作業を同時に行っているのではなく、高速で注意を切り替えているだけなのだと言われています。
そして、この注意の切り替えが起きるたびに、集中力は削られ、効率は落ちてしまうんですね。
例えば、資料作成の途中に通知が鳴り、スマホを確認し、メッセージに返信し、また作業に戻る。
この繰り返しは、集中力を細切れにして、仕事の質を下げてしまいます。
逆に、一つの作業にしっかりと腰を据えて取り組むと、脳が深い集中状態に入り、アイデアも浮かびやすくなります。
成功する人がやらないことを決めるのは、この集中の法則を自然と理解しているんですね。
そのため
朝は重要な判断だけに使う
会議時間を必要最小限にする
情報収集の時間と作業時間を明確に分ける
こうした工夫によって、エネルギーを分散させない環境を整えているんですね。
一方で、やらないことが曖昧なままだと、集中は簡単に奪われてしまいます。
スマホの通知、頼まれごと、SNS、雑務……これらは意識しなければ容赦なくあなたの集中力を奪っていきます。
あれもこれも頑張るのではなく、今の自分が力を注ぐべき場所を明確にする。
そのために、やらないことを先に決めるのです。
今日からできるやらないことリストの作り方
ここからは、実際にやらないことをどのように決めていけばいいのか、具体的なステップを紹介しますね。
大きな決断をする必要はありません。
小さく始めるほうが続きやすいと思います。
まずは、一日の行動をざっくりと書き出してみましょう。
通勤、仕事、休憩時間、スマホを触っていた時間、見ていた動画、惰性で続けてしまった行動など、覚えている範囲でかまいません。
次に、その中から次の三つの視点で見直してみます。
一つ目は、成果につながらない行動です。
なんとなく触ってしまうSNS、目的のないネットサーフィンなど、時間を取られる割に得るものが少ない行動がここに入ります。
二つ目は、心のエネルギーを消耗させる行動です。
気が乗らない約束、会うと疲れてしまう人との関係、必要以上に自分を責める思考習慣などが該当します。
三つ目は、自分でなくてもできる行動です。
家事を家族と分担する、外注できる部分は外注する、仕事でも他の人に任せられる部分は委ねる。
こうした選択だけでも、自分の負担はかなり減ります。
ここで大事なのは、すべてをゼロにする必要はないということです。
やめるのが難しければ減らす、頻度を調整する、時間帯を限定する、といった形でいいんです。
例えば、
平日のSNSは一日二回まで
ネガティブニュースは朝に見ない
なんとなくの飲み会は月一回まで
自分を責め始めたら、深呼吸して一度手を止める
こうした小さな設定をするだけで、心の負担は驚くほど軽くなります。
やらないことリストは、あなたを縛るためのものではなく、あなたを守るための道しるべなんですね。
そして、リストは途中で変わっても大丈夫です。
むしろ変わるのが自然です。
生活が変われば優先順位も変わりますよね。
そのたびに書き換えながら、自分の大切なエネルギーをどこに注ぐのかを整えていけばいいですよ。
成功する人ほど、努力の量よりも、どこに力を使うか、そしてどこに力を使わないかを大切にします。
やらないことを決めるというのは、自分を怠けさせるためではなく、集中力と時間を守るための賢い方法なんですね。
選択肢が多いと迷いが生まれ、エネルギーは分散していきます。
でも、やらないことを決めていくと、選択そのものが減り、自然と集中できる環境が整っていきます。
その積み重ねが、いつのまにか大きな変化や成果につながっていくのだと思います。
もし今、やることが多すぎて息苦しさを感じているなら、それはあなたが弱いからではありません。
選択の量が多すぎて、脳が疲れているだけなんです。
だからこそ、今日からひとつでいいので、これはやらないと決めてみてください。
小さな一歩ですが、その余白があなたの未来を少しずつ変えてくれるはずですよ。
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