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意味づけが人生を変える

 

同じ出来事を経験しても、人によって受け止め方が違うことってありますよね。

 

ある人は、それをただの失敗として受け止める。

ある人は、自分を見直すきっかけとして受け止める。

ある人は、もう二度と傷つきたくないとして拒絶する。

 

もちろん、つらい出来事を無理やり前向きに考えればいいという話ではありません。

苦しいものは苦しいですし、傷ついたことをなかったことにすることもできません。

 

でも、出来事そのものは変えられなくても、その出来事にどんな意味を見出すかは、少しずつ変えていけることがあります。

 

ということで今回は、ロゴセラピーをベースに、意味づけの重要性についてお伝えしていきますね。

 

 

ロゴセラピーとは何か

 

まずは、ロゴセラピーについて簡単にお伝えしておきます。

 

ロゴセラピーとは、精神科医のヴィクトール・フランクルが提唱した心理療法です。

ロゴという言葉には、「意味」という意味合いがあります。

 

つまりロゴセラピーは、人が生きていくうえで、意味を見出すことを大切にした考え方なんですね。

 

私たちはつい、楽しいことが多い人生や、成功が多い人生こそ幸せだと考えがちです。

できることなら、苦しみよりも喜びの多い人生を送りたいですよね。

 

でも現実には、思い通りにいかないことがあります。

努力しても結果につながらないこと

大切な人との関係がうまくいかないこと

どうして自分ばかりこんな思いをするのだろうと感じる日もあると思います。

 

そんなときに、ただ楽しいかどうかだけを基準にしていると、人生そのものが苦しいものに見えてしまうことがあります。

 

ロゴセラピーが大切にしているのは、そういった苦しさの中でも、人は意味を見出すことができるという視点なんですね。

 

これは、苦しみを喜びに変えましょうとか、苦しいことにも感謝しましょうという話ではありません。

 

そうではなく、避けられない現実にどう向き合うのか。

この経験を、自分の人生の中でどう扱うのか。

自分は何を大切にして生きたいのか。

 

そういった問いを持つことで、人は苦しい状況の中でも、自分の姿勢を選ぶことができるという考え方なんです。

 

この姿勢を持てると、出来事にただ振り回されるだけではなくなります。

もちろん、すぐに元気になれるわけではありません。

でも、苦しい出来事の中に、自分なりの意味を少しずつ見つけていくことで、心が立ち直る方向へ向かいやすくなるんですね。

 

 

意味づけが心を動かす

 

私たちは、出来事そのものに反応しているようで、実はその出来事に対する意味づけに反応していることがあります。

 

たとえば、仕事で注意されたとします。

 

そのときに、自分は否定されたと受け取ると、とても苦しくなりますよね。

やっぱり自分は向いていない。

相手は自分を嫌っているのかもしれない。

もう信用されていないのかもしれない。

 

そんなふうに意味づけてしまうと、注意されたという出来事が、自分の価値まで傷つけるものになってしまうんです。

 

でも、こういった見方もできるのではないでしょうか。

 

自分では気づけなかった改善点を教えてもらった。

今のうちに修正できてよかった。

次に同じミスを防ぐための材料になった。

 

もちろん、そう簡単に切り替えられないこともあります。

相手の言い方がきつければ傷つくこともありますし、落ち込むのも自然なことです。

 

でも、同じ出来事でも、そこにどんな意味をつけるかによって、その後の心の向きは変わっていくんです。

 

これは、現実を都合よく見ればいいということではありません。

大切なのは、出来事と意味づけを少し分けて見てみることなんです。

 

何が起きたのか。

自分はそれにどんな意味をつけているのか。

その意味づけは、自分を必要以上に苦しめていないだろうか。

 

こうやって少しだけ立ち止まってみるんです。

 

人は、強い感情が動くと、その出来事に極端な意味をつけてしまうことがあります。

一度断られただけで、自分には価値がないと思ってしまう。

一度失敗しただけで、自分は何をやってもダメだと思ってしまう。

一度うまくいかなかっただけで、もう無理だと感じてしまう。

 

でも本来、ひとつの出来事が自分のすべてを決めるわけではありませんよね。

 

意味づけは、心を動かします。

だからこそ、自分を苦しめる意味づけをしていないかを見直すことが大切なんです。

 

 

苦しみに意味を見つける

 

ロゴセラピーの中でも大切なのが、苦しみに意味をみつけるという考え方です。

この考え方を理解するうえで、避けて通れないのが、フランクルの名著「夜と霧」です。

 

「夜と霧」は、フランクル自身がナチスの強制収容所で経験したことをもとに書かれた本となっています。

そこに描かれている状況は、私たちが日常で簡単に想像できるようなものではありません。

飢え、寒さ、暴力、死の恐怖。

人間としての尊厳が奪われていくような極限状態の中で、フランクルは、それでも人の心に何が残るのかを見つめ続けました。

 

ここで大切なのは、フランクルが苦しみを美しいものとして語ったわけではないということです。

苦しみそのものに価値があるとか、苦しめば人は成長できるという単純な話ではありません。

 

そもそもの話として、苦しみはできることなら避けたほうがいいものです。

傷つかずにすむなら、そのほうがいい。

失わずにすむなら、そのほうがいい。

苦しまなくていいなら、そのほうがいい。

 

これは当然のことなんですね。

 

ただ、人生にはどうしても避けられない苦しみがあります。

自分の力では変えられない状況や、過去に起きてしまったことを、なかったことにはできない場合もあります。

 

フランクルが「夜と霧」の中で見つめたのは、まさにそのような状況でした。

外側の自由がほとんど奪われたとしても、自分がその現実にどう向き合うかという内側の姿勢までは、完全には奪われない。

そこに、人間の最後の自由があると考えたんです。

 

たとえば、フランクルは収容所の中で、妻のことを思い浮かべる場面を書いています。

過酷な状況の中で、愛する人の存在を心の中に抱くことが、彼にとって生きる意味のひとつになっていました。

 

現実としては、状況がすぐに良くなるわけではありません。

苦しみが消えるわけでもありません。

それでも、自分は何のために耐えるのか。

誰を思って生きるのか。

この経験の中で、自分はどんな人間であろうとするのか。

 

そういった意味を持つことで、人はただ苦しみに押しつぶされるだけではなくなるんですね。

 

もちろん、私たちの悩みと強制収容所での体験を同じように語ることはできません。

それでも、意味づけという視点だけを取り出すなら、私たちにも学べることがあります。

 

傷ついた経験があるからこそ、人の痛みに少し敏感になれることがあります。

失敗したからこそ、自分の弱さや足りなかった部分に気づけることがあります。

大切なものを失ったからこそ、自分が本当は何を大事にしていたのかが見えることもあります。

 

もちろん、すぐにそんなふうに思えなくてもいいんです。

苦しみの真っ只中にいるときに、これは意味のある経験だと思うのは難しいですよね。

そんなことを考える余裕なんてないことのほうが多いと思います。

 

ですが、少し時間が経ったときに、この経験を自分の人生の中でどう扱いたいかと問い直してみる。

この苦しみに飲み込まれるだけではなく、ここから何を受け取りたいのかを考えてみる。

 

その問いが、苦しみをただの痛みで終わらせないための入り口になるんです。

 

フランクルの体験が教えてくれるのは、苦しみをありがたがることではありません。

避けられない苦しみの中でも、自分の姿勢を選び直す余地があるということを、私たちに示してくれているのだと思うのです。

 

 

意味づけを変える問い

 

意味づけを変えるためには、問いを変えることが大切です。

私たちは苦しい出来事が起きると、つい自分を追い込むような問いを立ててしまいます。

 

なんでこんなことになったんだろう。

どうして自分ばかりなんだろう。

あのとき、こうしていればよかったのに。

もう取り返しがつかないのではないか。

 

もちろん、そう考えてしまうのは自然なことです。

つらいときに、すぐ冷静になれる人のほうが少ないと思います。

でも、その問いだけを繰り返していると、心は苦しさの中に閉じ込められやすくなるんですね。

 

なぜなら、その問いは過去を責める方向に向きやすいからなんです。

起きてしまったことを何度も思い返して、自分を責めたり、誰かを責めたりしてしまうんですね。

 

そこで、少し落ち着いたタイミングで、問いを変えてみるんです。

 

この出来事から、自分は何を学べるだろう。

次に同じことが起きたら、どうしたいだろう。

この経験を通して、自分は何を大切にしたいと気づいたのだろう。

今の自分にできる一番小さな行動は何だろう。

 

問いが変わると、見えるものが変わります。

 

なぜこんなことになったんだろうという問いだけだと、原因探しや後悔に意識が向きやすくなります。

でも、ここから何を受け取れるだろうという問いに変えると、少しだけ未来に目が向くようになります。

 

これは、無理にポジティブになることではありません。

落ち込んでいる自分に、前向きになれと命令することでもありません。

そうではなく、苦しさの中に閉じ込められた心に、別の出口を用意してあげるようなものなんです。

 

意味づけは、問いによって変わっていきます。

自分はダメだという問いを持てば、ダメな証拠ばかり探してしまいます。

でも、自分は次に何を変えられるだろうという問いを持てば、改善できる部分が少しずつ見えてきます。

 

だから、苦しいときほど、自分に向ける問いをやさしくしてあげてほしいんです。

今すぐ答えが出なくてもいいんです。

未来に目を向けられる問いを持っておくだけでも、心の向きは少しずつ変わっていくんですね。

 

 

 

意味づけは、現実を都合よく変えるためのものではありません。

つらい出来事をなかったことにするものでもありません。

でも、同じ出来事でも、そこにどんな意味を見出すかによって、その後の心の向きや行動は変わっていきます。

 

ロゴセラピーが教えてくれるのは、人はどんな状況でも、自分の態度や意味づけを選ぶ余地を持っているということです。

 

もちろん、苦しみをすぐに意味あるものにしなくてもいいんです。

前向きに考えられない日があってもいいんです。

 

ただ、少し時間が経ったときに、この経験を自分の人生の中でどう扱いたいかを問い直してみる。

その問いが、自分を少しずつ立て直す力になっていきます。

 

出来事に飲み込まれるのではなく、自分にとっての意味を少しずつ見つけていく。

それが、苦しさの中でも前に進むための支えになってくれるんですね。

 

 

 

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